十九 あまがさき
またその日、
「おやおや、こんなところで寝て。
おい、大丈夫かい? お前さんの住まいはどこだ」
酔っぱらいは、
「……あまがさき」
と答える。
「尼崎ィ? ずいぶん遠くから来たもんだね……このままじゃかわいそうだ」
と、男は酔っぱらいを車に乗せ、
鴨川を経て淀川に繋がるこの地は、京都・
男は、
船は無事、尼崎の港についた。
まだ眠っている酔っぱらいは、船から運び出されて宿屋に寝かされた。
しばらくして、酔いがさめ、目を覚まして、男はあたりを見回した。
「なんだこれは? ここはどこだ?」
宿の人が言う。
「ここは尼崎ですよ」
「尼崎?
宿の人が、昨夜からの事情を語って聞かせた。
すると男は呆然自失。
「私は、京の六条で尼崎屋という店を営んでる者なんだが……」
などと言っても後の祭り。
尼崎屋は、船賃と宿代を支払うために着ていた
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