十四 後家出家
京都
このころ、
しかし、その母は
「
と主張しはじめた。
もちろん
「目の前にいる息子の俺をさしおいて、他に誰が家を継ぐというんだ!」
と怒り、
妻の方の口上はこうだ。
「
「
「ならば、
これを聞いた
「では、今日はひとまず帰りなさい。さらによく取り調べして、後日判決を出そう」
宿に戻った妻は、
「裁判に勝った! では、
と親類たちに自慢顔で言った。当時、夫と死別した女性が二度と結婚しないという意思表示のために
さて、後日。
再び裁判を行うというので、妻は判決の場に出向いた。
そこで
「そちは髪を剃ったのか」
「再び夫を持って浮世の望みを抱いてはならない、と思いさだめ、出家した姿になってまいりました」
それを聞いて
「ならば、『出家』とは家を出ると書く。すぐに家を出るがよい」
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