姫奈の影
第19話
月曜日。翔たちのクラスは体育の授業でバレーをしていた。
授業後半。男女混合で6人ずつの班に分かれ、試合を行うことになった。
翔のチームには哲太がいた。そして、相手チームには姫奈。
クラス一の美男美女の直接対決。皆の注目が集まっていた。
ちなみに姫奈は運動神経も抜群で、男子にも引けを取らない。対して翔は、サーブを空振りしてしまうくらいには運動が苦手だ。
やる前から結果は見えている。それなのに、ネットを挟んで向かい合ったとき、姫奈が好戦的な顔で見てくるものだから、翔はいつになく気合いが入っていた。
試合が始まり、姫奈チームのサーブ。飛んできたボールはガチガチに力の入った翔の上腕部にヒットし、宙を舞った。ネットを越える。
そこには姫奈がいる。猫のような鋭い目が、ボールを捉えた。
ダイレクトで打ち込むつもりだ。翔は身構えた。
姫奈は高く跳ぶために両腕を後ろに振り上げる。
そのとき突然、姫奈の身体から力が抜けた。
糸が切られたマリオネットのように、歪な体勢で体育館の床に沈んだ。
鈍い音がした。
「きゃー‼」
体育館が異様な静けさに包まれた次の瞬間には、倒れた姫奈の姿を目撃した女子生徒たちの悲鳴がこだました。
誰もが一瞬ひるんで、足が止まった。
そんな中、最も早く姫奈に駆け寄ったのが翔だった。
「姫奈! おい姫奈! しっかり!」
懸命に呼びかけたが反応は無かった。
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