第6話 土曜 ~ブラック!!休日の歓送迎会・その後~
◆◆◆
♪大音量のCMと酔っぱらいの声。お疲れさまでしたとみんなの声がして、しばらくして静かな2つの足音に変わる♪
―いやぁー、それにしても、ホント悪いね。休日に歓送迎会なんて、ありえないよな。マジブラック、うちの会社。って、俺がなんとかしろよって感じだよな。ホント悪い。金曜日やりたかったんだけど、みんなの都合つかなくて。来週から、支店長九州いっちゃうしさ。せっかくの休みに、ホント申し訳ない。
「いぃえー!!いいんですよっ!!むしろ、みなさんのお休みの日を使って歓迎会して頂いてしまって、申し訳ないです!!…でも、すごいありがたいって思ってるんですよー?」
―坂下ちゃん、お酒好きなんだね。
「えー!?もう、大好きです。」
―わかる。俺も大好き。もう、ないと生きらんないし。
「ホントですか!?一緒ですね」
「普段、ご自宅でどんなの飲まれてるんですか?」
―
「へぇー。焼酎かぁ。なんか、しぶいですね。」
―坂下ちゃんは?
「私はカクテルが好きなんです。ソウル・キスとか、ベルベット・キスとかぁー………」
―……坂下、大丈夫??酔ってる??…いや、そんなの好きならビールくらいで酔わないか。俺、ちょっとこの後行きつけのスナックで飲んでこうと思ってるんだけど、1人で帰れるか??
「えーっ。帰れますけど…まだ飲み足りないです。」
―マジ?じゃあ、せっかくだからもう1件行こうよ。
「いいですね!!行きましょう!!」
◆◆◆
♪障子の向こうからガヤガヤと人の声♪
「部長、私カクテルが好きっていったじゃないですかー。もうちょっと、なんていうか…。」
―ごめん、和の気分で。あっ、すいませーん、南海鬼ころしと、梅酒ロックをお願いします。
「どうせ飲むから別にいいですけどっ。」
―はーい、じゃあ、あらためて、坂下入社おめでとーっ。カンパーイ!!
「ありがとうございまーす!!カンパーイ!!」
―そういやさ、坂下ん
「今日は、お母さんに預けてきたんで大丈夫です!」
―気合入ってんな……えっ!?
「えっ!?いや、みんなで!二次会とか三次会とかあるよなぁーって思って。」
―あぁ、そっちね。
「寂しがりやなんで、1人にしておけないんです。」
―わかる。ウチもだわ。帰ったら、たっぷり可愛がってやんないと。
「部長、家では甘々なんですね。マイハニー!帰ったよー!!ぎゅぅー!!!チュッ!!みたいになってるんですか??」
―……まぁ否定はしない。
「ふーん…(笑)」
―なんだよその顔。坂下こそ、デレデレなんだろ、どうせ。
「えぇもう。一緒に寝てますし、ずーっとくっついて、ずーっとナデナデしてます。」
―ふーん…(笑)
「なんだか、似てますね、私達。」
―そうだな。(笑)
「あっ、部長、そうそう、自慢大会!!やりましょうよ。この前の続き。うちのラブリの写真、見て下さいよー!!ほらほら。アルバムたっぷりあるんで。これとか、超かわいくないですか!?」
―ほんとだ!すげー可愛い。うちに連れて帰りたいわ。
―あ、そうそう、うちの子の写真も見る?
♪ガシャン♪(グラスをひっくり返す音)
「えっ!?息子さんのですか!?」
―え!?いや流れ的にどう考えても犬の話だよね。俺、独身だし。
「あぁ、一瞬焦りました!」
―えっ?なんで焦るの?……うわっ!!ちょっと…
「あっ!!ご…ごめんなさいっ!!!めっちゃこぼれちゃいました…拭きますね!!」
―あ、いいっていいって、自分でやる…
「こんなとこまで!!ホント、すみません…」
―…坂下……待って、違う大会になっちゃうから……
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