第2話 火曜 ~新人研修 1日目~

◆◆◆



♪始業のチャイム♪



「おはようございます!」


―おー。おはよー。昨日は朝からハードで疲れただろ。ちゃんと寝れたか??


「はい、もう、お風呂入って、速攻寝ました…。」


―だよなー。今日から3日間は新人研修なんだけど、初日はオンラインでビジマナとか個人情報保護とかそーゆーの受ける感じだから。今日1日はほとんどそれで終わると思うよ。眠くなると思うけど、頑張って。


「どうしても我慢できなくなったら、寝ちゃっていいですか?」


―いや、ダメでしょ。(笑)



◆◆◆



―おい、坂下。さーかーしーたー!


「はっ!!!!部長!!!すみません!!!」


―思いっきり寝てたぞ。


「ご…ごめんなさい、ちょっと…ウトウトしてしまって…」


―あぁー、ビジマナ研修の葉鍬はすきさん、めっちゃいい声してるもんなー。眠くなるよなー。


「そうなんです。心地よくって、つい…」


―講義の最後にテストあるから、寝てっと合格できないぞ。80点以上とれないと、再受講になるからな。来週から、一緒に物件とか回るんだから、今日でしっかり終わらしてくれよ。


「はい。一回でいけるように、頑張ります!!」



♪昼休憩開始のチャイム♪



◆◆◆



♪昼休憩終了のチャイム♪



―お疲れー。食べてきたの?


「あ、はい。近くのラーメン屋に。」


―ラーメン!?一人で?どこの店?


中仙軒ちゅうせんけんです。好きなんですよ。もう、朝昼晩3回でもいけちゃうくらい。」


―こってり系の濃厚なやつが好きなんだなー。


「そうなんです~!」


―奇遇だね。俺も中仙軒ちゅうせんけん、すごい好きなんだー。たまんないよなー。あとこの辺のラーメン屋って言えば開趨軒かいすうけんとか、富久引軒ふくびきけんも有名だな。今度、一緒にいこうぜ?


「いいですね!一緒にいきましょう!」



◆◆◆


♪「それではですね、先ほどお伝えした4ページ目の……」(講義の音声)♪



―坂下、どしたー?


「いえ、なんか急に声が、漏れてしまって…」


―なんだろね。じゃあ、オレのKata-Padカタ・パッド使っていいよ。外出用だから今使ってないし。


「ありがとうございます。あ、でもひらきません…パスワード、入れてもらえますか?…」


―あぁ、じゃあ言うから、自分で入れて?小文字で…「エイチ・オー・エヌ・イー・ワイ……」あ、いや、なんでもない自分でやる。


HエイチOオーNエヌEイーYワイ……??……え、ぶ…部長!!??(ぷぷっ)」


―今のは聞かなかったことにしてくれ。


「……えーっとぉ、それはともかく、先ほどの講義で、確かパスワードを安易に人に教えるなとか聞いた気がー。個人情報保護の観点からもー…(笑)」


―すまない。上司としてあるまじき行為だった。見逃してくれ。


「大丈夫です、冗談ですよ(笑)誰にも言いませんから。てか部長、愛妻家なんですか?」


―いや、残念ながら独身だ。ハニーは、うちのワンコの名前だ。


「す…すみません……」


―いいんだ……


「でも、ワンちゃん飼ってるんですね♪うちも飼ってるんです!!」


―え、マジで!?何犬?なんて名前?え、大きさはどんくらい?色は?てか何歳なの??写真ある!!??


「ヨークシャーテリアで、名前はラブリっていいます♪てか部長、どんだけ愛犬家なんですか。いいんですか?お望みでしたら私、始めちゃいますよ…。自慢大会。」


―いいねいいね。しよしよ。あっ、でも今は一応、仕事中だからな、ちょっと今度…あ、いや…、えっと、ランチの時にでも!!…あ、うちのハニーはトイプーだよ。ちなみに、色は白で、5歳オス。子犬の時可愛すぎて「ハニー」って呼んでたのが抜けなくてさー(笑)


「部長……ギャップがすごすぎです。(笑)でも、なんだか私達、気が合いそうですね…??」












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