【ボイスドラマ】「部長?」

タカナシ トーヤ

第1話 月曜 ~入社日~

◆◆◆


♪始業のチャイム♪


―あぁ、キミ、新しい子だよね。こっちこっち。


「あっ、おはようございます。今日からお世話になります、坂下さかしたです。」


―これから、朝礼で挨拶してもらうから。自己紹介と、趣味とかなんか一言、軽くでいいから、頼むね。


「はい、わかりました。」


―あ、やべ、もうチャイムなるわ。悪いけど、ちょっと前来てくれる?挨拶、頼むね。


―えー、みなさん。今日から新しくうちの会社に入ってくれた、坂下さんです。ちょっと一言、挨拶してもらうんで、よろしく。



「はじめまして。本日から入社致しました坂下さかした みおと申します。未熟者ですが、皆さんのお力になれるように精一杯頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします。」



♪拍手の音♪



―坂下さん、席、こっちこっち。俺の隣ね。よろしく、あ、俺、営業部で一応、部長やってんだ。よろしくね。



「はい、部長。よろしくお願いいたします。」



―わからないことあったら、何でも聞いてね。うちの会社、みんないいやつばかりだから。



「わかりました!ありがとうございます。」



◆◆◆


♪昼休憩のチャイム♪


 

「部長、お昼休みとかって、みなさんどうされてますか?今日、みなさんに合わせようと思って、お弁当持ってきていなくって。」



―あぁ。外で食べる人もいるし、デスクで食べる奴もいるかな。俺はいつも、ビルの地下の居酒屋ランチ食ってるんだけど。



「そうなんですね。私、ランチめぐりが好きで。よかったら、ご一緒してもいいですか?」



―あぁ、いいよ。ナカムラも一緒に行ってるから、あとで紹介するよ。



「はい、ありがとうございます。」




◆◆◆



♪演歌が流れる中、がやがやとサラリーマンの喋り声♪



「部長、ここ、すごく雰囲気いいですね。ツボダイも、めちゃくちゃおいしいです!!」


―あぁ、そうだろ?坂下さん、おいしそうに食うなー。魚好きか?俺、5年前に関東からここに赴任ふにんしてきたんだけど、昼も夜もずっとここに通っててさ。コイツ…ナカムラと、夜もしょっちゅう飲んだくれてんの。ここさぁ、値段も手頃だし、おばちゃんの接客がすげぇいいんだよな。俺ら、毎日昼ここにきてっから、坂下さんも都合あう時、一緒にいこうよ。



「はい!ありがとうございます!ぜひまたご一緒させてください。」



―あ、俺昼から外勤だから、わかんないことあったら、ナカムラに聞いてね。明日は、朝からずっといるから。



「わかりました。ナカムラさん、よろしくお願いいたします。」



◆◆◆


♪電話の音♪


―はい。


「あ、部長。外勤中にすみません。ちょっと、パソコンの設定がうまくいかなくって。管理者権限がどうとかで、何回再起動してもダメで。ナカムラさんに聞いたんですけど、部長に聞かないとわからないって言われちゃって。」



―え?あぁ。今外だからさ。悪いけど、本社のシステム部に連絡して聞いてみてくんない?俺のデスクの引き出しん中に、システム部の電話番号かいてある紙入ってっから。



「え…っと。部長のデスク…あ!ありました!!ありがとうございます。連絡してみますね。お忙しいところ、すみませんでした!」



―いや、今コンビニでタバコ休憩してたとこだし、全然大丈夫。ほかになんか、困ったこととかなかった?



「いえ、大丈夫です。また何かあったら、明日まとめてご確認させていただきたいと思います。お忙しいところすみません、それでは失礼します。」



―はーい。



「あっ!」



―ん?



「い…いえ…すみません、なんでもないです。」



―なんかあったか?



「いえ、ごめんなさい、部長、ちょっと、クリアファイルが……(クスクス)…」



―あっ!!!やべっ、オレの【ときめけ❤︎ドリームガールズ】の限定ファイル見たな!?ちょっと、それマジ、社内のやつに言うなよ!!??



「……ふふふ。誰にも言いませんよ。2人だけの、秘密にしておきます♪」








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