第14話 ボスモンスター『ギガントバッファロー』

 今回は、おつかいクエストを選択した。

 近所のばあさんにポーションを届けるだけでいいらしい。簡単すぎだろ!


 もちろん、そんなクエストは一瞬で終わった。



【報酬】

 少々の経験値と魔力回復ポーション10個。



 おかげで俺はレベルダウン。

 リディアはレベルアップした。



【アウレア:Lv.-36】 →【アウレア:Lv.-37】

【リディア:Lv.48】 → 【リディア:Lv.49】



 ひとつ変化があった程度だが、おつかいクエストでも経験値が入手できるんだな。知らなかった。



「今回は簡単なおつかいクエストでよかったですね、アウレアさん」



 おばあさんに貢献できて喜ぶリディア。本当、良い子だな。という俺も結構嬉しかった。こんな簡単なクエストで楽々レベルダウンできるんだからな。アイテムもゲットしたし。


 それに『プレセペの街』は平和でいい。ほのぼのとしていて――。



『ぎゃあああああああああああ!!』『助けてくれええええええ!!』『街にモンスターが現れたぞ!!』『お、おい! あれはボスモンスターじゃねえか!?』『誰か! 強い冒険者来てくれ!!』『やべえぞ、家が破壊されている!!』『う、うあああああ!』



 すぐ近くで建物が崩壊した。

 な、なんだ!?

 バカデカイモンスターが暴れているぞ!?



『ズドオオオオオオオオオオオオオオン…………!!!!!』



 物凄い音がして俺はびっくりした。お、おいおい……マジかよ。



「アウレアさん、これは大変ですよ!!」

「ニキシー、あのモンスターはなんだ!?」

「解析しました。どうぞ!」


 ニキシーのモンスター情報を受け取った。

 見てみると――。



【ギガントバッファロー】【Lv.50】

【詳細】

 水属性の牛系ボスモンスター。

 大型モンスターであり、突進すると頑丈な建物でも吹っ飛ぶ。ごく稀に村や街に出現する場合がある。



「な、なんだってー!! 牛系のボスモンスターだったのかよ」



 しかも、この街に現れるとは!

 俺はすぐにスピアーを持ち、突撃した。



「ちょ、アウレアさん! 危険ですよ!」

「大丈夫だ、リディア。君はここでニキシーといるんだ」

「嫌です! あなたと一緒がいいです!」

「……分かった。俺のそばを離れるなよ!」

「はいっ」



 現場へ駆けつけると建物が崩壊しまくっていた。やりすぎだろ、あの牛野郎! しかも、牛は興奮して更に建物を破壊しようとしていた。

 その目の前には女の子が!

 やべえ、助けないと!!


 とっさの判断で俺はスピアーをぶん投げた。



「くらええええええええええええ!!!」



 槍がギガントバッファローの体を貫通する。



『ヌグアアアアアアアアアアアアア…………!!!!』



 しかし、それでもヤツは倒れない。マジかよ!!



「アウレアさん、私の剣を使ってください!!」

「いいのかい!? リディア、君の大切な剣だろう!?」

「いいんです! あなたに使って欲しいんです!」



 仕方ない、リディアから剣を受けと――軽ッ! なんだこの剣。すげえ持ちやすい。そして、手によくなじんだ。


 いける、これならいけるぞ……!



「これでッッ! ソニックブーム!!」



 なんか知らんが、そんな技を口にした俺。なんか自然と出た。あれ、俺ってスキルとか使えたんだな!? いや、多分この剣が!?


 ――ともかく、俺はギガントバッファローの首を一刀両断にした。




『ザンッ!!』




 ドォンと重苦しい音が響き、俺はボスモンスターを撃破した。




「おおおおおおおお!」「なんだ、あの兄ちゃん!!」「すっげええ、一人でギガントバッファローを倒しちゃったよ」「女の子を助けたぞ!」「かっけー!!」「すっげええ」「何者だよ!?」「見たことのない冒険者だな」「うっひょー! こりゃニュースだぞ!」



 なんか人だかりが出来ていた。

 それより。



「君、大丈夫か」

「ありがとう、お兄ちゃん!」



 女の子は無事だった。彼女にそばには直ぐに母親が駆けつけた。



「ありがとうございます! ありがとうございます!」



 涙ながらに母親は感謝していた。子供を抱きかかえてどこかへ。……ふぅ、間に合ってよかった。



 そして、この事件がキッカケで俺は『勇者』と『魔王』から注目されるのであった……。って、マジかよ!!

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