第49話
「そういやさ、ソラって何歳なの?」
「じゃから、そういうのは聞くでないと前にも言うたぞ?」
「いやいや、夫婦なんだし、知っとくべきじゃん」
「うーん。確かにそうかもしれん」
「じゃあ、教えて! ね!!」
嫁さんは押しに弱いのでそこをつくといいでしょう。さて何歳だろう。1000歳とか? 実は10代とか?
「わかった……じ、実はわしにもわからん」
「は?」
「じゃから、わからんのじゃ」
「何故に?」
こんなに勿体ぶっといてわからないとは何事か。これいかに。
いや、逆転の発想だ。ソラの歳がわからないからこそ想像を楽しめる。俺がソラに甘えるという事が、あらゆる可能性を含むという事でもある。何とこれは素晴らしきかな。
「わし、狐じゃろ? 狐には、人間のように時間感覚もないし、ましてや日にち、年代感覚などあるわけなかろう?」
「あー。なるほど」
「わしら、というか他の動物にとっても、『あー、明るくなった』『あー、暗くなった』しかないと思うぞ」
「で、歳がわからないと」
「じゃが、さすがに年老いたババアとか陰で思われておると思うと腹が立って仕方ないからのう。おおまかでも知っておきたいのう」
嫁さん、そんなこと思ってないよ。むしろ、ババアなら2度美味しいというか素晴らしい。泣いてスタンディングオベーション確定でしてよ!
「じゃあさ、初めて人間見た時の事覚えてる?」
「何故に?」
「服とかで、年代わかるかなーって」
「なるほどのう。うーん。どうじゃったかな。わしもその頃小さかったしのう」
「色とか柄とかじゃなくて、えーっとね。これこれ。こういう和服みたいなのとかかなぁとか」
とりあえず、タブレットで調べて、その当時流行っていた、あるいは主流だった服を見せてみる。もし、和服とかなら、わりかし歳食ってはいるね。
「いや、こういうのではないな。みんな、旦那が来ているような服じゃったぞ?」
「となると、100もいってないんじゃないかな。50ももしかしたらいってないかもだし。ワンチャン、10代から40代の可能性もある」
「わし、そんなに若かったのか!?」
「その反応は、予想外。おもろ」
「な!」
「だけど、残念」
「ざ、残念? そ、その心はなんじゃ?」
「秘密ー」
さすがに、ソラがババアの方が面白かったなんて言った暁には離婚待ったなしの可能性が大。そんな過ちはおかしませんぞ。
「じゃあ、逆にわしから聞かせてもらうぞ?」
「うん。なになに?」
「旦那は何歳は、4歳じゃったな。じゃあ、誕生日はいつじゃ?」
「1週間後かな」
「え?」
「ん?」
「やばいではないか」
「何が?」
「わし準備しておらぬ!!」
「あー。えーっと、どんまい」
というわけで俺と夏美の誕生日まであと1週間ほど。誰か友達でも呼ぼうかな。凛ちゃんとか葵ちゃんとか?
せっかくのバースデーなんだからド派手に行こう。
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せっかくのバースデー回なので、50話にしたかったですが、1話2話ほど間に入るかもしれないです。
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