第48話

「ふわぁー。眠いのう」


「だね」


「さすがに、旦那もお眠じゃな」


「うん」


「返信が単調で張り合いがないがまぁ仕方ないか」



 ソラが何か言ってるかよく聞こえない。ダメだ。眠い。今は、20時だ……



◇◇◇


「おーい。旦那……って寝てしもうたのか。こんなところで寝てしまうとは風邪をひいてしまうぞ」


「あら、冬人寝ちゃった?」


「どうやらそうみたいじゃぞ」



 と、2人は冬人を微笑ましそうにみている。ちなみに夏美は冬人達がお風呂を入る前にお風呂に入っており、すでに熟睡中。



「ソラちゃん、冬人の事お願いね」


「もちろんじゃ」



 そう言って、冬人を抱っこしてソラは冬人の部屋まで連れて行く。

 足元に気を配りつつ時たま、冬人の顔をチラリとみては、足元をみてを繰り返していた。



「こうみるとまだまだ子供じゃな。ふふ。かわいいのう」



 ソラは冬人をベッドに寝かしつけ、布団をかけてあげた。そして、ベッドの横に屈みながら冬人をみていた。そして、利き手の人差し指を近づけ、ほっぺをツンツンと。



「おほぉ。柔らかいのう……起きておらぬよな?」



 そう入念に冬人を確認して



「……冬人。冬人。冬人冬人冬人冬人。ふゆと」



 と、旦那の名前を連呼した。言った本人も恥ずかしそうではあるが、それよりも名前を呼んでいるという達成感や幸福感でいっぱいのようである。普段気恥ずかしくて呼べない分、こういうときに思いっきり発散しているのだ。これでも、ソラにもプライドがあるので、冬人のように好き好きオーラを全開にするわけにもいかない。



◇◇◇


「おーい。旦那、起きよ。朝だぞ」


「ふわぁー。おはよ」



 超ねむい。冬人くんは朝に弱いのです。今何時だ。7時って、ソラさん早いっすよ。もうちょい寝てれるっすよ。ということで。



「おやすみ」


「あほ!」


「いで。まだ寝れるのにー」


「早寝早起きじゃ。もう起きておいた方が良い。いったいどれだけ寝るつもりじゃ」


「へーい……って、ソラ機嫌いいね。どったの?」


「何のことじゃ?」



 わずかながらに口角が上がっており、顔色も良い。雰囲気も柔らかいし、何より俺をみる目が好き好きオーラの残留があるというか。何かあったっぽいのはわかるんけど、何があったかまではわからない。こういうときに限って隠すのはうまかったりするんだよな。普段、ポンコツなのに。



「旦那、何か失礼な事考えておったよな」


「ナ、ナンノコトヤラ」


「隠すの下手か」


「ソラってポンコツだなぁって」


「お、おー。オブラートにつつまぬか。全くこやつは。極端すぎるじゃろ」


「もちろん、ポンコツかわいいって事だよ!!」


「擁護になっておらぬからな?」


「もちろんする気ないから」


「なお、タチが悪い!!」



 とにかく、今はいいか。隠し事の1つや2つある程度は許容してこその夫婦ちゅうもんやし。ソラのことだからきっとかわいいやつなのはわかるけどね。いずれ、ソラのことだし、言ってくれるでしょ。

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