第43話

 1500円あった手持ちが今は300円ほど。

 寄り道して帰りたかったけど、どうしようかな。

 ギリギリ、ソフトクリーム1つは買えるか。



「ソラ、行きと別の道通らない?」


「別に良いが、道はわかるのか?」


「いやわかんないけど」


「なら、寄り道などせず帰ろうではないか。あいすが溶けてしまう」



 うー。ダメでした。アイスを前にした嫁さんには敵いません。せっかくのデートなのだから寄り道くらいしたっていいじゃん。アイスなんて、今は秋だし、さほど溶けないだろうし、溶けてもまた凍らせばいいじゃん。



「あいすー♪ あいすー♪」



 とほほ。大人しく帰りますよ…。あ、ちょ待てよ。だから、強めに手を引かないでクレメンス。あ、ちょいたいっす! 早い早い早い!! ちょ、まじ待って!!



◇◇◇



「あら、早かったわね」


「うむ。ぱふぇを旦那と作るからのう」


「お母さん、手洗ってくる」


「はーい」


「あ、待て。わしもゆく」



 パシャパシャ。ジャー。ゴシゴシと。まぁ、こんなもんでしょ。俺の手にはもはや雑菌など存在するがしないのだ!! わぁっははははは!! 残念だったな!!

 手を綺麗にした後は冷蔵物と冷凍物にわけて冷蔵庫へといざ投入。ささ、きんきんに冷えやがれ。



「冬人、どれくらいお金かかったの?」


「そんなに」


「お母さんに言ってくれればよかったのに」


「ううん。大丈夫」


「そう……」



 母上が、なんだか哀愁漂わせておる。は! まさか、そっけなく返しすぎた? これはしもうたー。俺としたことが、そこら辺の調整を間違えてしまうとは。調整ゆうなって? それには『ぐう』の音も出ないっす。まぁ、ちょうどお腹は『ぐうぐう』鳴ってるんだが。飯じゃ! 飯の用意じゃ! はよう取り掛かれ!!



「旦那、ぱふぇはいつ作るんじゃ!!」


「晩御飯食べてから作ろうかー」


「えー。嫌じゃ嫌じゃ!! 今食べたいー!!」



 いつからソラは駄々っ子お嫁さんにジョブチェンジしたのやら。可愛いね。とりあえずパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ。

 は! き、気づいたらアルバムにソラの写真が100枚も!? 少なすぎない? もっと撮っておこ。

 パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ。

 ふぅ。完璧ー。この端末のアルバムには秘宝が隠されている!! さぁ、探すのだ血気盛んな若者どもよ!!

 ワ○ピースは置いてきた!!

 しかし、これはこれはまるで『宝石箱やー!!』といわざるをえない。至高極まりない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る