第33話

「結局、母さん達にどう説明しよう」


「おぬしの母上か?」


「ん」


「わしも挨拶くらいはしたいが「全力でお嫁さんである事をアピールするね!」やめい。わし、狐じゃし、そこら辺は大丈夫じゃろうか?」


「母さん、俺ファーストなところあるから、『俺が好きになった人なら』とか言って普通に大丈夫だと思う。むしろ、狐をアピールするべきだよ。いいや、しなさい」


「何故、命令されねばならん」


「良いではないか良いではないか」


「はぁ……。どうしようかのう」



 あ、好き。考えこんでる姿好き。もっとお顔を見してけろ。そのご尊顔を! あ、目があっ…いで。小突かれました。



「どうせいつかバレるんだし、今のうちに正体明かしとくべきだって」


「そういうもんか?」


「うーん。どうなんだろう」


「……」



 頭を抑えている。苦虫を噛んだような顔をしている。ソラは表情豊かで面白いね。あはははは。



「笑ってる場合か!」


「もうこの案で行くよ!」


「本当にいいんじゃな? それで」


「もちろん」


「旦那を信じるぞ」


「旦那呼びは嬉しいけど、冬人呼びはもっと嬉しいよ! さ、呼んで!」


「ふ、冬人!!」


「い、いいね! その赤らめた表「解説せんで良いわ!」」



◇◇◇


 戻ってまいりましたとも、そして後ろにはソラが。ちょっとドキドキする。



「お母さん、おばあちゃん」


「何?」「どうかしたかい?」


「お嫁さん!」


「「?」」


「お嫁さん!」


「「??」」



 ソラを前に出す。あら?

 何か、口パクで伝えようとしている。何々、『せ・つ・め・い・へ・た・か!』さーせん。

 あとはソラに任せて先に行く! 俺は夏美たんと遊んどくさかい。あとはまかしといたで!



「え、えっと」


「「!?」」


「あのー、良いか?」



 お母さんとおばあちゃんは必死に頭をコクリコクリと縦に振った。ちょっと混乱してそう。面白い。

 あ、ソラから非難の目が。



「冬人さんと婚約を結んで「お嫁さんです!」冬人もっと言い方あるじゃろ!」


「お嫁さん!」


「「!?」」


「お嫁さん!」


「ちょ、ちょっと何言ってるかわからないわ。ね、お母さん」


「……」



 お婆様が絶句しておられる。なかなか見たことない光景が広がっている。母上はまだ現実が受け止めれてないらしい。あれ? おっかしいな。もう少し上手く行くはずだったんだけど。



「ソラと結婚したい!」


「「「っ!!」」」



 いやいや、ソラさんや。何故貴方も驚いてるんすか。あ、直球過ぎたすか。いいじゃないっすか、直球。ド真ん中。押してダメならゴリ押していけ。

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