第30話
「とりあえず、落ち着くんじゃ」
「いやいや、落ち着いて……いや、ある意味興奮状態か」
そんなわけで彼女とのお話続行である。
俺が話始めると話が1ミリも進まないらしいからとりあえず喋るなと言われたが喋ってしまいましたとさ。あっさり約束を破る。これが冬人くんクオリティですとも。
「わしは、おぬしが何者か聞いたが、まぁなんじゃ。不思議な気配がしておったから多少の興味本意で聞いたんじゃ」
「な「あー、喋るでない。頷いておれ」」
言われた通りに頷いておく。何に対しての頷きなのだろうか? 俺は頷きbotへと化した。
「でじゃ、ちょっとこちら側へと呼んで、今の状況じゃな」
「へ「だから喋るでない」」
喋る事が許されない。解せない。どうしてこうなったのやら。不思議でしょうがない。うーん。
「ちなみにわしじゃが、うーん。どうしようのう。ま、『ソラちゃん』とでも呼んでおくれ」
「ソ「だから喋るな!」」
名前くらい呼ばせてよ! あ、なんか縄を口に巻かれ出した。どうしましょ、これ。
これじゃ、何も喋れませんぞ。
抗議の声すら出せなくなってしまった。唸るぐらいしかできないぞ。うー! うー!
「…はぁ………でじゃ、見たところ多少ごちゃ混ぜ感は否めぬな。……もう良いぞ」
あ、縄解かれた。
「ごちゃ混ぜってどんな?」
「表現し辛いんじゃが、たとえば、絵の具の白と黒を混ぜ合わせた時の初期状態というべきかのう」
「へー。マーブルなのか。あ、マーブルチョコ美味しいですよね。今度持ってきます」
「いいわい。で、何故かわかるか?」
「んー。まー、一応。でも言っていいやつなんすかね」
「知らぬが」
「じゃあ、責任とって結婚してくれるなら話しましょう」
「いや、その取引、わしに1つもメリットないから話さんで良いぞ」
「そんな殺生な」
諦めたのか、こちらをまじまじと見てきた。なんかゾクゾクする。いや、この言い方だとただの変態だな。何というかゾワゾワする。いや、言い方変えただけで変態度が鰻上りしたような。
「……で、どこまで本気なんじゃ?」
「と言いますと」
「わ、わしに言わすでないわ!」
「……ふむふむ。まじまじのまじですとも。是非末永くお願い申し上げたく」
ポッと顔を赤らめているような。なんかブツブツ言い始めた。あら、こっち見た。あ、違うところ見た。
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