第24話

 ほんとうによく描けてるはずなんだけどな。

 このツヤツヤの卵肌。卵だから卵肌は当然か。いや、言い得て妙か?

 オムライスを下手に描こうという方が無理なんだよ。

 だって、枠描いて黄色く塗るだけ。何ということでしょう。あんなに真っ白。白白な紙はあっという間にオムライスの完成だい!

 いいや、考えてみよう捉え方を変えてみるんだ。単調なオムライス。それはオムライスと言えようか? 否。つまりオムライスでありオムライスでない何かなのだ。そう思わないかね。葵くん、凛くん。

 あ、はい。ド下手ですみません……。


 だーめだ。話になんねー。

 天才と凡人では埋まらない壁。そう無理難題。



「冬人くん、オムライスはもっとこおなの!」


「えっとね。こお描いたらいいよ」



 うーん。無理(笑)

 まずは手を見てみよう。手つきがこお何というか。

 ふっ。冬人くんは察してしまったのだよ。ええ。

 君たち4歳児ではないね。そう、4歳児の皮を被った化け物なのだ! HAHAHAHA! 正体見たり。お主らも迂闊であったな、この俺に正体を見破られるとは!



(おーい。そんなわけないじゃん。そんなほいほい転生させると思うかい?)



 おっと、脳内に直接。やーん。エッチー。スケッチ。ワンダフル。ワン!

 じゃなくて、なかなかにいい趣味をしてはりますな御代官様。ぐへへへ。悪い笑みが止まりませぬわ。

 さてさて、親切にもカミサマから訂正をいただきましたとも。本当にありがた迷惑この上ない。というか、あなた俺に関わらないとかほざいてましたやん。あれー? 図星ですかー? やーいやーい。うーん。無視か。

 俺は、『ド下手』と言われた心の痛みを虚勢を張って、無理矢理合理化しようとしてたのに論破されちゃいましたよ。全く、いらない助言でしたとも。

 ちっくしょぉ!


 この胸の痛み晴らさるべきか。いや、俺は大人。赤ん坊などというチンケな存在ではないのだ。耐えろー。耐えるんだ。冬人くんは頑張れる子。冬人くんはいい子。よし。



「先生、外で遊びたい!」


「え、えっと。そ、そうしましょうか」



 そう。忘れるんだ。体を動かせ。脳筋へとランクダウンをしてしまうがこの際しょうがない。

 決して、逃げているわけではない!

 戦略的な撤退なのだ! 仕方ないのだ。渋々なのだ。不本意なのだ。そこら辺は充分理解してクレメンス。



「「「冬人くんあそぼー!!」」」


「うん」



 さて、外へとLet's go

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る