第23話
「はい、冬人くん」
「先生、ありがとうございます」
「えらいねー」
咄嗟に敬語使ったけど、4歳児ぽくはなかったか。
さて、この紙をしっかり暗記するんや。
へー、このクラスは34人なんだ。つまり、俺は33人の女子に囲まれていると。多いな。いやでも、100人彼女作ろうとしてるやつもいるわけだし、そう考えると少ないのか? だってほぼ3分の1だぜ?
ようわからん。
「冬人くん、書けたの?」
「葵ちゃんは?」
「もちろんなの!」
「うま」
いやいやいやいや、4歳児の画力じゃないって!
え? やばくない? 普通にコンクール出せば、入賞はおろか最優秀賞だって狙えそうなんだけど。というか、クレヨンで書いたわけ? おかしくない?
いや待て。違和感がある。
はっ? いやまてまてまて、よく考えてみなさい、絵を描き始めて約30分。それでこのクオリティー?
やばいって。思わず、素がでちまった。
このクオリティーの後に俺の絵を出すわけ? 恥ずかしいんだけど。
「冬人くんのも見せてなの」
「は、はい」
「んー。冬人くん下手なの」
言いやがった葵ちゃん!
おいー。いやね、あなたに比べたら下手だとは思いまよ。はい。いやでもね、4歳児にしてはなかなかいいものを描けたと自負できると思うわけでしてね。
「えっとね、ふ、冬人くんの絵はちょっと変だけどいいと思うよ」
あのですね、凛ちゃん。全然、慰めになっておりません。むしろ、えぐられたぐらいですよ。それはもう、心に酷い傷を負いましたとも。シクシク。
そ、そんなに言うなら見してもらおうじゃねーか!?
「冬人くんあのね、見てほしい」
「よかろう」
「え?」
「んん。ごほん。見して」
……おっふ。あなたもですか。ですよねー。薄々わかっていましたとも。ええ……。
もしかしてこの世界の人って絵が上手いのか?
いや、まだ疑問点が残る。参考サンプルが少なすぎる。もっと、比較対象をもってして結論を出すべきだろう。
「先生、絵描いて」
「あら、いいわよ」
「こーで、うーん。これでいいか。はいどうぞ」
「……おっふ」
あなたもですか。薄々わかってましたとも。ええ。
いやいやまだだ!
「「「冬人くんこれ見て!」」」
そうだ。まだ絵が31枚あるじゃないか。そうだとも、まだまだ!
「…………おっふ」
ええ。ええ。……見せてもらいましたとも。ダメでした。みんな、うますぎ。
結論、この世界のみんな絵上手い(笑)
でしょうね! ほんとは、葵ちゃんの絵といい、俺の絵の感想的にわかってましたとも。見ないふりしてましたとも。
さて、俺の新しい目標に『絵の下手な仲間を探す』これを追加だ。いるかな。
そして、絵について何だが。……みんな、俺とその子が2人っきりで手を繋いでいる絵でしたとも。これについては見ないふりした方がいいやつっすよ。ほんとに……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます