第13話

「冬人、3時のおやつ食べよっか」


「うん」



 おっといけない、夏美が寝てるのに声を大にしそうでした。

 にしても、ほんとすやすや寝てる。ス○リス姫かな? いや、うちの姫だしあながち間違ってはない。むしろ、スヤ○ス姫である事を推奨したい!

 ほっぺぷにぷになんだけど。めっちゃ触りたい。何これ触りたいんだけど。触ったら起こしちゃうかな。ほっぺの魔力恐るべし。うぉ、手がほっぺに吸い寄せられる。やめろやめるんだ! 鎮まれ、俺の右腕! 母上に怒られてしまうでそうろう。



「冬人、ぶどうとスイカと梨があるけどどれがいい?」


「スイカ!」


「はーい」



 ビビった。母上、さすがにこのタイミングは肝が冷えますぜ。控えておくんなし。

 うむ。やはり、妹かわいいね。うん。若干シスコン補正あるかもだけどかわいいね。母さんの血が流れてるわけだし、いずれ母さんみたいに美女へと変身を遂げちまうんだろう。いやはや、恐ろしい。

 反抗期が来て、『お兄ちゃんなんか大嫌い』とか言われみなよ。軽く死ねる。むしろ、それ想像しただけで精神的大ダメージをくらっちまう。というか、この世界の子って反抗期あるんだろうか? ほんとあるんかね? そりゃあ、個人差はあるだろうけども。



「冬人、スイカよ。種気をつけてね」


「うん」



 いただきます! あんまぁ! 何これ。絶対高いやつでしょ。母さん、どうやって買ったんだよ。そういや、母さんってどんな仕事してるんだろ。基本、俺と一緒にいる時は仕事してないし。にしては、こんな高そうなスイカ買ってるし。謎だ。



「美味しい?」


「うん。すんごく甘い」


「でしょ。ふふ。まだたくさんあるからそんなに急いで食べなくてもいいわよ」


「いっぱい食べる」


「ダメよ」



 いや、さっきの流れ的におかわりたくさんオッケーのはずでしょ! 何故ダメなのですか、母上! 理由をお聞かせください!



「なんで?」


「晩御飯食べれなくなっちゃうでしょ?」



 ホンマや。ぐぬぬ。正論で反撃とは何も言い返せないではありませんか。してやられました。完敗です。



「じゃあ、晩御飯食べる!」


「まだ、晩御飯まで時間あるから、いっぱい遊んでお腹空かせててね」


「うん」


「……まんま!」



 おっと、我が家のお姫様が目を覚ました。

 開口一言目が、『まんま』とはかわいいやつめ。



「あら、起きたのね。ちょっと待ってねー」


「あだ! うー」


「はいはい」



 何やら、お姫様はご機嫌な様子。かわいい。

 そういえば、夏美スイカ食べれるよね? 食べさせたい。



「ねえねえ、お母さん」


「何?」


「夏美にスイカあげてもいい?」


「そうね。私達で独り占めするのもいけないし、夏美にもあげよっか」


「やったー」


「じゃあ、準備してくるから、お兄ちゃんは妹の面倒みてくれる?」


「うん」



 そのミッションしかと成し遂げてしんぜよう。

 待ってろよ夏美、今行く!

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