第11話
「ふわぁー」
「あら、冬人くん早いわね。こんにちは」
「こんにちは」
そっか、お昼寝だもんね。『こんにちは』の時間帯か。あー、なんかこの背徳感たまらん。たまにはこういうのも悪くないかもね。いいねいいね。
「あ、冬人くん?」
「?」
どったの先生。
「もう少しで、お母さん迎えに来るからねー」
「わかった」
「今日は楽しかった?」
「うん! みんなお友達」
我、皆と友になれて嬉しく思っている所存でござる。とりあえず、お友達いっぱい作るミッションは完遂致しました。
「それはよかった。みんなが喜ぶよ」
「うん!」
それは何より何より。最初の事件が帳消しになるくらい楽しかった。ほんと楽しかった。
「ふふ、よかったよ」
あんな目さえ向けてこなかったら、ほんとこの先生有能でまともなんだけど、いかんせん、あの目があるからなぁ。
「それで、それで、冬人くんは気になる子できた?」
おっと。なかなかにデリケートな質問ですよ。先生、それ聞いちゃまずいでしょ。まぁ、俺だからいいけど。ほんと気をつけなさいよ。
「えっとね、凛ちゃんとはもっと仲良くなりたいし、葵ちゃんって子とも仲良くしたいし、あとねあとね。あの1番に寝ちゃった子とも仲良くなりたい。でもね、みんなともっともっとお友達になりたい」
とまぁ、無難に如何でしょう。凛ちゃんとは、たぶんクラスで1番仲良いはず。あとはまだ名前わからない子だらけだったから自分で名乗ってた子と目立ってた子上げとけば文句ないはず。
そういえば、凛ちゃん以外にちゃんと名前名乗ってもらってないかも。俺の名前は知られてるのに相手の名前知らないのもいけないしちゃんと覚えなくちゃ。
「そうか。冬人くんは、もうみんなと仲良しだよねー。ごめんね。変なこと聞いちゃって」
「ううん。でね、先生にみんなのお名前教えて欲しい!」
「そっかそっか。うーん。どうしようかな。あ、そうだ。次来た時にみんなと一緒に自分のお顔お絵描きしゃおっか」
おー。ナイスアイディア。顔と名前が一致しないと覚えても意味ないもんね。そういや、俺の美術スキルどれくらいだっけ。
「……ふ、ゆとくん……」
「あら、寝言でも冬人くんの事呼んでるわね。かわいい」
「凛ちゃんかわいい」
なんか嬉しい。冬人くん泣きそう。
まさかこんな短期間でこんなにも好いてくれるとは。惚れちまうぞ。もし、お嫁さんにするなら凛ちゃんがいいなぁ。ま、気長に考えるべ。
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