第10話

「さぁて、みんなお昼寝しよっか!」


「「「お昼寝ー」」」


「凛、あのねあのね! 冬人くんと一緒にお昼寝したい!」



 おっとー? 凛ちゃん、おっとー?

 その発言取り消せよ! じゃなくて、危なくてよ!

 あれれー? 意味わかってらっしゃる? わかってる? あ、もちろん下ネタの方じゃなくて、第一次お昼寝紛争勃発の方ね。いやー、やってくれましたね。

 ほら見てくださいよ、みんなこっち見てますやん。え? まじどうすんの? ヘルプミー。こういうときは、大人の力を借りるべきなのだが、おっとー?

 先生、目が怖くてよ。だから、やめてくださいな、その肉食獣な目。くっそ、母上がいらしたらこの場をおさめてくださいますのに、生憎、ご帰宅なさいましたじゃないですか。



「葵も、冬人くんと一緒に寝たいの!」「「私も!」」「凛ちゃんばっかりずるい!」「寝る!」「ふわぁー」



 おっとー? 1人もう、寝ようとしてるんだけど、マイペースやなぁ。まさか、男に興味がないのか!?

 何この胸の高鳴りは! は!? ま、まさかこれが恋というのね!? トゥンク。

 という茶番は置いておいて。にしても、珍しい。まさか全部計算づくし? 嫌だわー。そんな4歳児嫌だわー。って俺がそうか。じゃあ、自己否定してたのか(笑)

 俺がリアル4歳の頃なんて『うんこうんこ』言ってたぞ。確か。そんな4歳児嫌だわー。

 やっぱ、女子の方が精神の成熟が早いのかね。

 

 さて、現実逃避もこれくらいにしなくては。まったくだよ。



「先生、眠たい」



 とりあえず、先生どうにかしなさい! あんた、大人でしょ、後は全部任せた。どうなろうが、知っちゃこちゃナイチンゲール。



「そ、そうね。冬人くんももう眠たいみたいだし、とりあえず、みんな、お布団敷いちゃおうか。そ、それから考えようか!」



 問題の先延ばしは後で自分を苦しめるだけです。どうか、先生ご無事でありますように。アーメン。



「葵の布団、冬人くんの横とったの!」「葵ちゃんずるい!」「私も取った!」「zzzzz」「凛もとる!」「あ、ずるい!」



 うるせー! みんな元気すぎだって。眠れなくなるよ。そして、俺は見逃さなかった。嘘だよね? あなた、何でこの状況で寝られますん!? 今度から、勇者って呼ぼうか?

 さてさて、どのようになった……おっふ。

 何これ。え? 俺、生け贄?


 俺を中心にみんなが布団を円のように並べてある。部屋広いから全然入るかもだけどさ、まじでどうしてこうなった。普通、川の字だよね? 嫌だよ、こんな中寝るの。


 え? 寝なきゃダメ? あ、はい。


 お、おやすみなさい。

 イッザ夢の世界へゴートゥー


 ちょっと待て、お昼寝は惰眠に入る?

 個人的には、ギリ入らない気がするんだけど。いや、捉え方次第ではワンチャン? というか、この世界に来てから頑張りすぎな気がする。あー。ここでも社畜根性の弊害が。

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