第6話

 ワクワク。ドキドキ。


「ふ」


「ふ?」


「「「ふえぇーーん」」」



 あ、ありゃりゃ?

 泣き出しちゃったよ! ど、どうすんの!?

 キモすぎた!? 調子乗りすぎだった!?

 だったら、死にたくなってきたんですが!?

 女の子泣かせて、調子乗り男とかクソ野郎じゃん。どうすんのまじ。え、俺も一緒に泣くべき!?


 いや、まじどうすんの?



「あ、ありゃりゃ。みんな、大丈夫よー。冬人くんはとってもいい子だからねー。ちょっとびっくりしちゃったんだよねー。はい、よしよし」


「あらあら」



 珍しく、母さんも焦ってる。なんだか、焦ってる母さんみたら冷静になってきた。



「冬人くん、冬人くんママさん、ほんとうに申し訳ございません。こちらの判断ミスでした。みんなが落ち着くまでどうかお待ちしていただけたら幸いです……。あ、園長先生、カクジクシカジシクで」


「……ええ、わかりました。そちらの対処は任せますね。冬人さん、六花さん、この度はまことに申し訳ございません。ここでは何ですので、場所を移してお話しの続きでもよろしいでしょうか?」


「ええ」


「ではこちらに」


「冬人行こっか!」


「うん!」



 一時はどうなるかとは思ったけど、先生の対応が早くて助かった。ふぅ。

 1日目にしてこれはなかなかだなぁ。この先が思いやられるよ。まったく。まぁ、楽しみな事には変わりないけどさ。


 考えを巡らしているうちにどうやら着いたみたい。

 えーっと何々? ら・い・ひ・ん・し・つ。

 ほへぇー、保育園にもあるんだー。

 あ、中に入ってる。おー、すごっ。めっちゃ、高いソファーじゃん。何これ何これふっかふっか。まるで、雲みたい。

 やばい、楽しすぎて若干思考が退化してた。



「……この度は、ほんとうに申し訳ございません」


「いえいえ、男の子は珍しいですからね。あれくらいの反応よくありますよ」



 何やら、母上がお話しをしている。母上なら、大事にしたりも咎めたりもしないだろうし大丈夫かな。さてと、俺は邪魔をしないように空気空気と。そう、今の我は空気と完全に一体となった。見つけれるものなら見つけてみるがいい! はーはっはっはっはー!!



「冬人くん、ジュース飲む?」


「うん」



 ですよねー。俺の短い栄光は終了致しやした。ちゃんちゃん。

 とりあえず、ジュースいただくとしますか。おー、りんごジュース。うまいうまい。

 ここで、耳寄り情報。どうやら、この身体というか若い身体と言った方がいいのかな? は、味覚が敏感ぽい気がする。当社比(冬人の独断)によるとなんか、倍美味しく感じる気がする。あと、社畜時代は食べれたピーマンとかが食べれなくなってる。まぁ、頑張って食べるけど。母上が、一生懸命作った料理を残す事はできようか? 否、できるわけがない。


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