第5話

 ガラガラガラ。



「みんなー。今日から、お友達が増えるよー」


「「「………」」」



 あれ? もっとこお、『きゃー』とか『わぁー』とかないの? あ、でも、本気の『きゃー(悲鳴)』はガチ目に傷つくんでちょうどいい塩梅でオナシャス。



「あ、あれ? み、みんな、新しいお友達よ?」


「「「………」」」



 やばい。メンタルがやられた。泣いていい? ガチ泣き5秒前になっていい? え? どうすんのこれ。

 とりあえず、先生の顔を見て何かを訴えかけるのが吉と見た。

 じーーー。


「……」


「え、えっと、冬人くん?」



 じーーー。とりあえず、これで乗り切るしかないのだ。耐えてくれ俺の心臓!



「あ、あのね。あのね。……えっとね。あなた冬人くんというのね?」



 おっと、これはあの映画のワンシーンを思い出すね。『あなたト○ロって』…おっと、またしても何か圧を感じるぞ。や、やめてくれー、お、俺はまだ消えたくない。

 ありゃ、不安そうな顔してる。やばいぞ。こういう時何って言えばいいんだ。普通に『うん』とか言えばいいのか!?

 いやでも、そしたらハーレムエンドが着実に近づいてくる気がするのがな。

 ハーレム君「やぁ」

 ひゃー!!

 ほら来たよ。言わんこちゃナイチンゲール。

 男は度胸、やったろうじゃねえか!


 コクリ


 この身体ひよりやがったよ。いや、案外よかったのかもしれない。そう、前向きに捉えていこう。

 男は度胸。しばっていこう。オー!



「うんとね。えっとね。私ね。えっとね。凛って言うの!」



 うなれ、俺の灰色の脳細胞。考えるんだ、ショタらしく無難で、だけど相手の子、凛ちゃんを思いやった返事ができるそんな、オールパーフェクトな答えを!

 うおおおおおおおおお!!


 ダメだ。思いつかねー。まだ、4歳の頭には無理難題すぎたか。なら、なるようにしかならんぞ!

 決して侮るでない我を!


 ニコ


 とりあえず、笑顔で返すのがいいだろ。俺天才。まじ天才。だがまぁ、リスクはある。凛ちゃんが俺に惚れてしまわないかだ。いや、違うんですって!

 自意識過剰とかじゃないんですって! いや、まじで。事実としていったまでですって。

 いやだってさ、母さんの顔面偏差値考えてみ?

 俺がイケメンじゃないわけある?

 なんなら、テレビに出てるアイドルとか目じゃないって。それに加えて、男が少ないわけよ。

 モテない方が、無理なワ・ケ・!


 さて、どう来るのか。

 解説の冬人さんと実況の冬人さんいる?



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