第4話
「みんなー、そろそろお昼ご飯の時間にしようか!」
「「わーい」」「ご飯!」「カレー! カレー!」
「残念ながら、今日はカレーじゃないですが、みんなが大好きな『あれ』ですよ?」
「何々?」「教えて教えて!」「カレーがいい!!」「何だろ何だろ」
うん。やかましい。
あれー? 4歳児ってもう少し静かなイメージあったんだけど? あれか? 女が3人寄れば姦しいとか言うやつ? ま、3人どころじゃないんだけどねー。
あと、凛ちゃん? 仲良くなりたいのはわかるよ。わかる。わかりみが深いけどね、ボディータッチ多すぎやしません? あなたまさか、卑しいの?
いやだよ、4歳児から卑しい片鱗を見せつけられるの。ね? 自重しよ? ね?
改めて思うけど、ここは男女比がおかしい世界なんだよね。まずは、左側をご覧ください。
女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子。はい。女子しかいません。
続いて、右側をご覧ください。
凛ちゃん女子女子女子女子女子女子女子女子女子女子。はい。知ってましたとも。ええ。
はい。
はい。
…………はぁ。やっぱ、ハーレム作るの? まじで?
ハーレム作ったら、嫁さんの相手してるうちに1日終わりそう。もちろん、嫁さんが出来たら精一杯仲良くするつもりだけどさ、限度ってもんがあるよね? ね?
というか、もともとの目標だった『惰眠を貪る』ってのはどうなったのやら。若干忘れてたんだけど(笑)
あらやだ、社畜根性抜けてなくてよ。
ま、考える時間はいくらでもあるしまたにしよか。
「冬人くんも、お手手洗っておいでー」
「はーい」
さてと、ご飯♪ ご飯♪
今日のご飯は何じゃろな。あそれ。
ジャブジャブジャブ。ゴシゴシゴシ
あらあら、お手手綺麗綺麗。かんぺきー。
お、もう並べてある。ほほお!
オムライスとはやりおる!? 我、オムライス大好きぞよ!? めっちゃ綺麗に包まれてる。うまそう。早く早く! 早く食べるべき!
「じゃあ、皆さん手を合わせてください。いただきます!」
「「「いただきます!!」」」「ほどこし感謝致す。いただきます」
うっま。うっま。まじ、うっま。パクパクいけちゃう。うっま。うっま。
とりあえず、箸休めにブロッコリー。フッサフサやぞ! うん。食べやすいように柔らかくてうまいうまい。
ありゃ? どったの凛ちゃん?
「どうしたの? 凛ちゃん?」
「………っ! え、えっとね。あのね。この緑のお豆さん苦手なの……」
「そうなの?」
「うん……」
グリンピースかー。たまに苦手な人いるよね。だけど、バランスも考えて入れられてるわけだし食べてあげるのはダメだよねー。
「じゃあね、凛ちゃんがあと3個食べたら全部食べてあげる!」
「……! い、いいの!」
「うん! 3個頑張ってね!」
「うん!」
あらかわいい。この無邪気な笑顔が俺を狂わせる。
凛ちゃん3個頑張ってね!
さて、それまでオムライスを堪能しておくとしましょうか。うっまーうまうま、うっまー。美味しい。うまうま。なんで、オムライスってこんな美味しいんだろ。オムライス天下狙えるって。うまうま。
「冬人くん、あのね! 食べた!」
「凛ちゃん、えらい!」
「あひゅぅぅぅぅぅぅぅ。ふぇっ!」
頭撫でるのもなかなかに乙なものがありますな。凛ちゃん髪サラサラなんだけど。あらやだなんて、綺麗な髪だわ。ずっと触っていたいくらい。
おっといけね、凛ちゃんがパンク寸前だ。
お、おぉ……。そ、そんな悲しそうな顔をされるとまた撫でたくなるじゃないか。鎮まれ俺の右腕!
「凛ちゃんはいどうぞ。グリンピース食べたよー」
「えっとね、ありがとう冬人くん」
「どういたまして」
「いたまして…?」
おっといけない。つい本性が。果たして、いつまで隠し通せるのか。それは神のみぞ知るってね。テヘ。
「美味しかったね!」
「あのね。すっごく美味しかった!」
「「「美味しかった」」」
また食べたいな。そういや、この世界にはオムライス専門店とかあるんだろうか? いや、あの人? あ、神か。あのカミサマは元いた世界のパラレルワールドって言ってたしあるか。今度、母さんに連れて行ってもらおうかな。いやでも、危険かな?
「では、皆さん手を合わせてください。ごちそうさまでした!」
「「「ごちそうさまでした」」」
「じゃあ皆さん、食べた食器をお片付けしましょうね」
「「「はーい」」」
お片付け♪ お片付け♪
何を隠そう、お片付けは得意なのである!
まぁ、そう母さんに教育されてるんだけどね。汚部屋になんかさせないよ! お片付けの3箇条! ドンドンパフパフー。
その1、使った物は必ず元の場所に戻すべし!
その2、ゴミをその場に置きっぱにしない!
その3、綺麗だと思っても定期的に確認を怠らないこと!
以上3箇条を守りし者はお片付けマスターの称号を母上から得ることができようぞ!
俺は持ってるもんねー。いいでしょいいでしょ。
ま、母さんが言った3箇条はもう少しわかりやすく端的な説明だったけどね。
回想シーン。ぽやぽやぽやー。
『冬人ー、お片付けする時はね。お母さん守って欲しい事があるの』
『なに?』
『おもちゃの箱におもちゃを戻す事。ゴミはゴミ箱に。たまにお母さんとお掃除タイムしようね。この3つ守れますか?』
『うん!』
と、まぁこんな感じ。何とわかりやすい事でしょう。4歳児脳にもしっかり吸収されましてよ。
さてさて、お片付けの続きといきましょう。
「じゃあ、みんな次は何の時間かな?」
「「「歯磨きー」」」
「おぉーみんなよくわかったね!」
「葵、こんなの簡単なの!」「私も」「私もわかってたもん」「当たった!」
子供は素直で良い。そのまま純粋無垢なままでいてくれたらどれだけいいんだろうかなぁ。無理だろうけど。
前の世界の小説とか物語ではだいたい女性の性欲がキャパオーバーしてるイメージだけど、みんなを見た感じ全然そんな片鱗は見えないけど。え? 凛ちゃんが?
ゼンゼンソンナコトナイヨ。ネ?
うん。何もなかったぞ⭐︎
そんなこんなで、歯磨きが終わった。途中、『先生が仕上げ磨きしましょうか?』と強引に迫って来たりしたが、ゼンゼンナニモナカッタヨ。ホントダヨ。
フユトクンウソツカナイ。
◇◇◇
「さぁて、みんなお昼寝しよっか!」
「「「お昼寝ー」」」
「凛、あのねあのね! 冬人くんと一緒にお昼寝したい!」
おっとー? 凛ちゃん、おっとー?
その発言取り消せよ! じゃなくて、危なくてよ!
あれれー? 意味わかってらっしゃる? わかってる? あ、もちろん下ネタの方じゃなくて、第一次お昼寝紛争勃発の方ね。いやー、やってくれましたね。
ほら見てくださいよ、みんなこっち見てますやん。え? まじどうすんの? ヘルプミー。こういうときは、大人の力を借りるべきなのだが、おっとー?
先生、目が怖くてよ。だから、やめてくださいな、その肉食獣な目。くっそ、母上がいらしたらこの場をおさめてくださいますのに、生憎、ご帰宅なさいましたじゃないですか。
「葵も、冬人くんと一緒に寝たいの!」「「私も!」」「凛ちゃんばっかりずるい!」「寝る!」「ふわぁー」
おっとー? 1人もう、寝ようとしてるんだけど、マイペースやなぁ。まさか、男に興味がないのか!?
何この胸の高鳴りは! は!? ま、まさかこれが恋というのね!? トゥンク。
という茶番は置いておいて。にしても、珍しい。まさか全部計算づくし? 嫌だわー。そんな4歳児嫌だわー。って俺がそうか。じゃあ、自己否定してたのか(笑)
俺がリアル4歳の頃なんて『うんこうんこ』言ってたぞ。確か。そんな4歳児嫌だわー。
やっぱ、女子の方が精神の成熟が早いのかね。
さて、現実逃避もこれくらいにしなくては。まったくだよ。
「先生、眠たい」
とりあえず、先生どうにかしなさい! あんた、大人でしょ、後は全部任せた。どうなろうが、知っちゃこちゃナイチンゲール。
「そ、そうね。冬人くんももう眠たいみたいだし、とりあえず、みんな、お布団敷いちゃおうか。そ、それから考えようか!」
問題の先延ばしは後で自分を苦しめるだけです。どうか、先生ご無事でありますように。アーメン。
「葵の布団、冬人くんの横とったの!」「葵ちゃんずるい!」「私も取った!」「zzzzz」「凛もとる!」「あ、ずるい!」
うるせー! みんな元気すぎだって。眠れなくなるよ。そして、俺は見逃さなかった。嘘だよね? あなた、何でこの状況で寝られますん!? 今度から、勇者って呼ぼうか?
さてさて、どのようになった……おっふ。
何これ。え? 俺、生け贄?
俺を中心にみんなが布団を円のように並べてある。部屋広いから全然入るかもだけどさ、まじでどうしてこうなった。普通、川の字だよね? 嫌だよ、こんな中寝るの。
え? 寝なきゃダメ? あ、はい。
お、おやすみなさい。
イッザ夢の世界へゴートゥー
ちょっと待て、お昼寝は惰眠に入る?
個人的には、ギリ入らない気がするんだけど。いや、捉え方次第ではワンチャン? というか、この世界に来てから頑張りすぎな気がする。あー。ここでも社畜根性の弊害が。
◇◇◇
「ふわぁー」
「あら、冬人くん早いわね。こんにちは」
「こんにちは」
そっか、お昼寝だもんね。『こんにちは』の時間帯か。あー、なんかこの背徳感たまらん。たまにはこういうのも悪くないかもね。いいねいいね。
「あ、冬人くん?」
「?」
どったの先生。
「もう少しで、お母さん迎えに来るからねー」
「わかった」
「今日は楽しかった?」
「うん! みんなお友達」
我、皆と友になれて嬉しく思っている所存でござる。とりあえず、お友達いっぱい作るミッションは完遂致しました。
「それはよかった。みんなが喜ぶよ」
「うん!」
それは何より何より。最初の事件が帳消しになるくらい楽しかった。ほんと楽しかった。
「ふふ、よかったよ」
あんな目さえ向けてこなかったら、ほんとこの先生有能でまともなんだけど、いかんせん、あの目があるからなぁ。
「それで、それで、冬人くんは気になる子できた?」
おっと。なかなかにデリケートな質問ですよ。先生、それ聞いちゃまずいでしょ。まぁ、俺だからいいけど。ほんと気をつけなさいよ。
「えっとね、凛ちゃんとはもっと仲良くなりたいし、葵ちゃんって子とも仲良くしたいし、あとねあとね。あの1番に寝ちゃった子とも仲良くなりたい。でもね、みんなともっともっとお友達になりたい」
とまぁ、無難に如何でしょう。凛ちゃんとは、たぶんクラスで1番仲良いはず。あとはまだ名前わからない子だらけだったから自分で名乗ってた子と目立ってた子上げとけば文句ないはず。
そういえば、凛ちゃん以外にちゃんと名前名乗ってもらってないかも。俺の名前は知られてるのに相手の名前知らないのもいけないしちゃんと覚えなくちゃ。
「そうか。冬人くんは、もうみんなと仲良しだよねー。ごめんね。変なこと聞いちゃって」
「ううん。でね、先生にみんなのお名前教えて欲しい!」
「そっかそっか。うーん。どうしようかな。あ、そうだ。次来た時にみんなと一緒に自分のお顔お絵描きしゃおっか」
おー。ナイスアイディア。顔と名前が一致しないと覚えても意味ないもんね。そういや、俺の美術スキルどれくらいだっけ。
「……ふ、ゆとくん……」
「あら、寝言でも冬人くんの事呼んでるわね。かわいい」
「凛ちゃんかわいい」
なんか嬉しい。冬人くん泣きそう。
まさかこんな短期間でこんなにも好いてくれるとは。惚れちまうぞ。もし、お嫁さんにするなら凛ちゃんがいいなぁ。ま、気長に考えるべ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます