形だけの主催の、感想の間(前編)1~7
三題噺ワンドロ。
それは暇を持て余し……ているわけでもないけれども、そこに〆切が現れたら体が勝手に物語を紡いでしまう執筆
08/08の17:30頃にお題決めて、即日23:59までを〆切にしての突発企画に作品をお寄せいただいた皆様に、まずは山よりも高く海よりも深く
提出してもらった作品に感想を述べつつ、お口の中で溶けるようなふんわり溶けるきめ細やかなかき氷のような批評を加えて企画参加へのお礼といたします。
夏じゃからね。納涼的な意味でかき氷ね。
今回のお題は『空欄』『花火』『死体』
バランスよく揃ってます。実に。お題を考えた組ブラボー。どう素晴らしいかは三題噺の書き方のコツと共に後述しますね。
まずはこちらの表をご覧ください。提出順タイムスタンプとなっております。
今回の掲載は提出順、つまり蛮族順だったわけですが、ヒラメキからの執筆の速度の高さは、明確に、文章を書く生きものとしてのメリットなので誇っていただきたいと思うわけです。マジで。割りとマジで。
ただ、企画の存在自体を知ったのが〆切りギリギリ、なんて人もいたかとは思うのであくまでも目安ってことで。
2024/08/08 18:24:03 神崎 月桂
2024/08/08 19:37:26 メアリー=ドゥ
2024/08/08 19:43:55 どっかのひょこり野郎
2024/08/08 19:48:38 遊月奈喩多
2024/08/08 19:50:16 ミクラ レイコ
2024/08/08 19:53:30 エコー
2024/08/08 20:36:32 灰色サレナ
2024/08/08 21:08:04 環月紅人
2024/08/08 21:09:00 とーふ
2024/08/08 21:09:56 ニノハラ リョウ
2024/08/08 21:26:52 小欅サムエ
2024/08/08 21:46:29 筋肉痛
2024/08/08 22:05:23 真摯夜紳士
2024/08/08 22:10:27 DuG
2024/08/08 22:22:49 まさかミケ猫
2024/08/08 22:29:30 たっきゅん
2024/08/08 22:34:11 南雲 皋
2024/08/08 22:46:12 緋色刹那
2024/08/08 22:46:52 三衣 千月
2024/08/08 22:54:02 mafork(真安 一)
2024/08/08 23:08:31 五色ひいらぎ
2024/08/08 23:12:16 柴野いずみ
2024/08/08 23:29:17 阿井りいあ
2024/08/08 23:31:04 巴御前
2024/08/08 23:42:44 つこさん。
2024/08/08 23:45:47 茶都うなべ ちゃのみやうなべ
2024/08/08 23:52:09 べ
2024/08/08 23:59:02 お米うまい
2024/08/08 23:59:44 つじ みやび
2024/08/08 23:59:45 朝霧 陽月
おい主催。
誰よりも早くお題を知った三人のうち二人が提出一位と二位を取っているのにお前は十九位だぞ。
そうツッコミを入れる皆様のお気持ちはよく分かります。とてもよく。ええ、とてもよく分かります。
アレです。結婚記念日なんですよ八月八日は。毎年。ちょっとお高いケーキ食べてお祝いしてから書いたっていいでしょうが。ついでに祝っていきたまへよ。
よし、どうでもいいこと言うだけ言って筆が温まってきたところで感想に移っていきますー!
はいそこ、筆が温まってもインクか墨が速く乾くだけでデメリットしかない、とか言わない。乾く前に書ききれば問題ないんですよ!!!
◆
1.命の爆ぜる色
作者名:神崎 月桂
はいキレイにまとまってますね!!!
花火職人のもとに舞いこんだ妙な製作依頼。不穏な依頼者。謎の原材料。果たしてその原材料の正体は……!!
いやまあ死体なんですけどね。お題になってんだから。
三題噺ならではの組み立てかたでしたね。登場人物も読者も分かっているけど、明言はされていない。そういった余白部分に楽しさを見いだせる作品でした。
もちろん、お題が使われてないから消去法で花火の星の原材料が死体だ。という判断材料だけではなくて、炎色反応のオレンジ色(カルシウム由来、人骨と推定)だったり、依頼者の外見だったり、しっかり納得させるための材料は散りばめてあるので唐突なオチに読者が唖然とすることもない、見事なソフトランディングだったと思います。
さて、批評のお時間、DA!!
批評って、根拠を持って論的に述べないといけないわけで、そこは先に明らかにしておきますよ。
今回は三題噺としての批評なので、『お題の使い方』その技巧的な部分を述べていきます。
今作では『花火』を軸に、オチとして『死体』が活きる構成であったと思います。死体というワードそのものを出さなかったことも、読者の中でお題を認識させるという点でそれを後押ししていたと思います。いい仕事してますねぇ(なんでも鑑定団風に)
反面、『空欄』に関しては描写として存在したのみであり、ギミックや起点、転換点としての作品内でのなんらかの機能を持っていなかった点は惜しいと感じました。
ともあれ、しっかりまとまっている作品でしたので楽しめました。次回開催時もよろしくお願いしますね(圧)
○ ○ ○
2.世界で一番儚い花は
作者名:メアリー=ドゥ
余白が美しすぎる……!
……余白が!! 美しすぎる!!(二回目)
村の花火大会。その寄付名簿にある空欄。あがる花火は毎年ひとつだけ。それは神に選ばれて誰の記憶からも消えて花になって儚く消える者の名を記した空欄。
ここに、少年少女の淡い繋がりを示すことでドラマが拡がるんですよ。ただ消える少年の独白ではなく、いつか消えたあの子への憧憬や思い出す事のほんの僅かな渇望が、読者の中で物語として形作られていくんですねぇ。これは……端正な仕事をされてますねぇ(なんでも鑑定団風に)
この作品の幻想感というか、浮世離れ感というか、奇譚的な雰囲気を決めてるのって、少年の『観』ですよね。村の決めごとに、一切の否定的な感情が乗ってないんですよね。読者からしたら可哀想な状況に見えているけれど、少年はそうは思っていなくて、ただ少女のことを思い出すこの読者と登場人物の相容れない立ち位置の違いがより作品の雰囲気を浮き彫りにするわけです。
これを、436文字で……? 感想の方が分量多いが?
ん”っんー。軽く咳払いして批評ですね!
お題の『空欄』を軸に、空欄の理由が明かされることでクライマックスへ向かい、『花火』として神に捧げられる。俗世と離れた状態を『死体』と解釈して、起点、転換点、オチにそれぞれを配置した構成でとても美しかったです。
明確なワードとして死体の文字列は途中に思い出される少女のセリフとしてのものでしたが、機能としてはオチに『死体』が含まれると思います。この辺りの「お題を二回使うことの是非」については三題噺専門家のなかでも派閥が分かれるところなので今回の批評の枠には含めず、といたします。
余分も不足もない、掌編としての完成度が高い作品でした。
○ ○ ○
3.あいしてる
作者名:どっかのひょこり野郎
空欄のギミックの使い方がいいですねー!!
本文内で一度も登場しないタイトル部分が『 』の中に入ることで読者にだけ明かされるドラマがあるわけですけども。
死体になった恋人の体を維持しつづける女性。年に一度だけ戻ってくる魂を死体に入れての交流。共に花火を見て、朽ちてしまった彼の体。置き去りにされる彼女。
サッドエンド……! 圧倒的サッドエンド!! お題の与える印象を裏切らないエンド!!
印象的なシーンを倒叙的に最初に持ってきていたりテクニカルな面もあるのですが、話の余韻というか、その先が面白いと思ってまして。これ、彼女になんの救いもないんですよね。怒りと悔しさと憎しみが自分に向いた状態で、目的がなくなってしまった状態。
見方によっては、『生きる目的を失った=死体のような人生』になるな、と。物質的な死体と精神的な死体の対比に見えるのがすごくない? 興味深くない?
お題の使い方って所で、批評としてはですね!
冒頭に『空欄』を持ってきて、転換点でもう一度それを持ってくることで倒叙である事を確定させているのでメインギミックとして上手く機能していると思いました。
『死体』を動かす必然性もあり、『花火』が場面の切り替えに使われていて読者に与える印象としてはしっかりとした柱ができていると感じましたがお題に対しての納得感はもう少しあるとよかったです。花火を観に行く必然性とかそういう方向性の、物語のバックボーンが見えるとこの辺りは補完できると思いますので、読者の中にどのような世界を広げるかを意識するといいかも知れません。
無常、無念を切り取った一作、楽しませていただきました!
○ ○ ○
4.悲しい日の空は、ちょっとだけレモネードに似ている。
作者名:遊月奈喩多
相変わらずほんと。遊月さんはほんと、もう!!!
暗さというか、負の面というか、おぞましさを平坦に書くんだからもう!! それでいてどこか清々しいというか、清涼感まで感じるんだから。そこは真似できないなぁと常日頃思ってるわけです。はい。
ストーリーラインは、めちゃくちゃシンプルなんですよね。自分をモノとして扱っていた相手を殺して、自分も死ぬ。ここに、殺意があやふやだったり倒錯気味だったり、重ための描写を入れることで方向性をまとめてワンプレートにしてお出ししてくれてます。
黄色がかった視界ってのも、非日常でいて異常さを際立たせる良い描写でしたね! 徹夜明けの朝陽なんかは黄色く見えたりもするわけですが、今回は夕方じゃしな。そもそも曇り空っぽいし。となると、何かしら薬物の副反応かも、くらいには思えますよね。クソの煮凝りみたいな男だったので、薬の一つや二つキメさせられててもおかしくないぞ、と。そういう想像の余地がしっかり嫌な方向に伸びていくのがホント素晴らしかったです。
批評部分としては、ですね。
起点に『死体』を転がして、キャラクタに『空欄』のアイコンをあてはめる構成でした。空欄を物理的なものではなくキャラの属性として使うことでキャラを立てているのは良かったです。
三題噺として見るならば、惜しむらくは『花火』が心情の補完に使われ、ピースとして嵌まっていましたが、構成上での役割を持たずに浮いていた点が挙げられます。あ、いや、短編としての評とは別ですからね! 物語としては素晴らしかったですぜよ!!
◯ ◯ ◯
5.少年少女は神社で花火に照らされる
作者名:ミクラ レイコ
しっとりとイイ話でしたね!!!
舞台設定を昭和にしてあるのも納得感が増してよかったです。
級友が死体を埋めていた。それを偶然見てしまい後日呼び出されるも、彼女は罪を背負って死を選ぶつもりだった。最期の思い出に一緒に花火が見たいと言う彼女に対して、生きていてほしいと告げる。そして六十年後、そこには仲睦まじい老夫婦の姿が……!
昭和が舞台だったからこその余韻ですね。平成だと殺人の時効がなくなっちゃいますし、捜査技術も発達してますしおすし。そこに来ての、この、六十年後ってのがいいんですよ。波乱万丈、秘匿に秘匿を重ねた末の平穏かも知れないし、いっそ自首して、罪を償った後の静かな平穏化もしれない。その余地がいいですよね!! キャラの心情に寄り添ったままスムーズに読み進められるあたりもストレスフリーの要因の一つだったと思います。
お題の使い方、という面での批評としては。
『死体』を冒頭に出してインパクトをつけつつ、『花火』を二回使ってる部分がテクニカルですね。オチの部分では幸せの象徴として『花火』を使っていて、その納得感を高めるために転換点で出してあるのがその理由とさせてください。
ただ『空欄』が構造的、機能的に働いていなかったので、三題噺としての批評としてはそこが残念に思いました。短編としては間違いなくイイ話なので!! 話がダメだと言ってるわけでは! ないですのでそこはご理解いただければー!!
○ ○ ○
6.最後の花火
作者名:エコー
ラブコメ縛りはぁ!!?!?
企画ではラブコメ縛りって言ってたからほのぼのしたのが読めると……思って……!!
爆速で展開がひっくり返ったんですけど!!
いやでも、まさにそこが良いところで、最初は明るい雰囲気に見せておいて不穏な雰囲気に持っていって、自分の命も使って物語をしっかり終わらせているのでスッと入って綺麗に抜ける作品でしたね! 749字の中で感情の転換が二回入ってくるのも上手いと感じたポイントでした。
主人公の感情も、相手を処してなお、自分も後を追おうと思えるくらい愛情はあったんですよね。結婚詐欺師だと分かった上で、法に任せるのではなく自分で、というところがドラマを生んだと思います。
お題の使い方批評としては。
時間的な舞台として『花火』を敷いて『死体』を横に並べて『空欄』でオチをとる構成になっています。『空欄』の使い方に関しては、前述した主人公の気持ちと重ねての表現として効いているので、そこを補足するように明言こそされていないものの『死体』があることは納得感がありました。
『花火』が……! 惜しくてぇ!! 花火が「ここで見るのは最後」の引き立てにはなっているんですが、今作の場合であればキャラに寄り添ったものであれば全てのお題が同じ方向性で揃って大三元並みに役が出来ていたと! 思いました!!
○ ○ ○
7.ぱっと光って咲いた朱い花
作者名:灰色サレナ
愛が重いんじゃあ。
思わず心の中の千鳥が出てくるくらいには偏執的な愛。話の軸として貫かれているこの重たすぎる狂度100%の愛。
話の筋としては、自分をいじめた者たちへの復讐のために見せつけるような自死を選ぶも、それを阻まれてしまう。愛ゆえに。いやでも復讐は一応完遂できたんだよ。望まぬ形で。いびつな愛の手によって。ここが面白いんですよね。何も自分の手では成し遂げられず、その機会も永遠に失われてしまう虚無的なラストの余韻が花火の儚さともシンクロしてて。
最後、たぶんこれ相手が自分自身を刺して復讐を完成させたんですよね。キャンプナイフの描写も序盤にあるし。やるせなさ全開ですよ、主人公にとっては。
ここまで無情な終わりもそうそう無いと思えるイイ作品でした。
お題の使い方面での批評として。
全編を通して『花火』が中心に据えられていて、復讐の材料にもなっていて良かったと思います。『死体』についても花火と合わせるように自然と出てきているのが巧さでしたね。花火+死体のコンボは直接的な組み合わせ方としては良いアプローチでそれをメインギミックにしっかり据えてあって見事でした。よいお点前です。
『空欄』が復讐開始のキーとして使ってある部分はしっかり嵌まっているので、そこに主人公目線でのサムシングも乗せてあるとより完成度の高い三題噺になると思いました。
〇 〇 〇
いったん!
いったんここまでで前編の筆を置きます!!
中編、後編で! この調子で続きを書いていきたいと思います!!
筆が!! あったまった筆が乾いたので!! はい序文ラクガキ部分での伏線回収!!
ええい、おまけもつける!!!
前編のおまけはそうですね、三題噺のちょっとしたトリビアをば。
古来、三題噺は落語で楽しまれていた遊び方で、観客からその場でもらった三つのお題を使った小話をするものだったわけですね。
で、遊び方のルールとして、お題の一つは必ずサゲ(オチ)に使うって縛りがあって。もちろん、創作小説においてこのルールが適用されなければならないなんて言う気はないですけども、知ってるとテクニックの一つとして使えるかもしれませんぜお客さん。
ミツイは個人的にこれを【三題噺・古式】と呼んでるわけです。観客からすれば「あのお題が使われてないけど、オチでどう出すんだろう」といったワクワク感が出るので、そこで期待を越えたオチを持ってくると観客大興奮、名声うなぎ上りの滝登り、鯉変じて天に昇りし竜の
……筆がすべった。余計なこと言っちゃったい。
あとはトリビアとは関係なくなっちゃいますが、三題噺のお題には使い方というか、カードの切り方、配置の仕方、みたいなパターンがいくつかありまして、そこを系統だてて引き出しにしまっておくと、よりよい三題噺ライフを送ることができますので次回中編のおまけはそのあたり、お題の系統分けと使い道あたりをご紹介しますね。
あ、今回のお題がどうバランスがいいかも後述するって言ってましたっけ。言ってましたね。
……。
……。それも中編で!
お題パターンテンプレと一緒に話したほうが効率がいいので。
残りの感想、批評はですね、可及的速やかに、前向きに検討することを善処する姿勢を追及してまいりますのでいましばらくお待ちくださいませ!
かしこ!!!
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