第7話 裏切り者と島からの脱出①
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パリーン!!
ガッシャーン!!
キャアァァー
ワァァァー
外では破壊音と人々の悲鳴が聞こえ、不安がだんだんと募る。
「………っ……」ガタガタ
身体の震えが止まらない。一体…外では何が起きているの。朝は物騒な様なんて無かったのに…なんで?私達はどうなるの?
ギュッ(服の裾を握る)
「!!」
驚いて みふるちゃんの方を振り向くと…
みふる「だっ大丈夫…いるか先輩!きっと今夜行う宴の予行練習かもしれませんよ。」
彼女は震えながらも笑顔で私を励ましてくれた。
「…みふるちゃん…」
本当は分かっている…みふるちゃん自身も今起きている事はまずい事態だって…それなのに……私を気にかけて…
「ありがとう…みふるちゃん。うん…きっと何とかなるよね。大丈夫よ。」
お互い離れないように抱き寄せる。人の体温が心の安定剤となり、少しだけ落ち着く事ができた。
だけど……
バタ バタ バタ バタ
ケムタタ「……………」
ひすい「……………」
窓を見ていた2人がさらに青い顔をして戻って来たのを見て……淡い期待は無惨に崩れ去る。
ケムタタ「信じたくないが…裏切り者が集落をめちゃくちゃにしている。すまない…契約上、今回は「オランビス島の旅計画」は中止だ…」
ひすい「悔しいですが…こればかりは…みふる…海原さん…」
押領司さんは唇を噛み締めて、私たちをじっと見据えこう言った。
ひすい「今からオランビス島から脱出するわよ」
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ガサッ ガササッ
ガサ ガサッ
「はあっ…はあっ…」
ジャングルの中、息が切れそうになりながら私たち3人は走り続ける。
目指すは海岸。
朝に見た時は、小さな船があった記憶がある。一か八かその船で脱出を試みれば…脱出できたら…
あっ……
(…ルシアさん……)
ふとルシアさんを思い浮かぶ。彼と2度と会えなくなるのは…なんだか心残りに感じた。夜ご飯一緒に食べる約束をしたのに…ごめんなさい。
みふる「あっ…海岸が見えてきた…後少しですけほっ…いるか先輩っ頑張れ!」
みふるちゃんの掛け声と共に前を見ると木々の隙間から海岸が見えてきた。
後少し走ればっ…
ガササッ ガサッ
ジャングルから抜け出した先は一面に青が広がる海岸。戦場化した集落と打って変わって穏やかな波音は安らぎを感じる。
「はぁっ……海だ…着いた…」
みふる「ふぅ……ふぅ…お疲れ様です。いるか先輩」
ひすい「…ここまで来れば大丈夫ね…2人とも早く船に乗りましょう。私が運転するから…
その間に休んでて。」
息を切らしている私たちに対して、押領司さんは涼しい顔でスタスタと船の方へ歩き出す。
……かっかっこいい…それに押領司さん…1級小型船舶操縦士の免許を持っているなんて……できる女は違うなぁ…
みふる「かっこいい…男だったら惚れちゃいそう…」
みふるちゃんも私と同じく、感嘆な眼差しを押領司さんに向けていた。
ひすい「……惚れて貰わないと困るな。(小声)」
みふる「……えっ…」
ひすい「なんでもないわっ……って痛っ!」
ビターン!!!
突然、押領司さんの方から何かにぶつかる音が辺り一面に響いた。
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