第1話 始まりは海外視察③

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海外視察まであと3日になった頃。


この日の夕方、みふるちゃんが私の元にやってきた。フラフラしているけど、顔はイキイキして輝いている。


もしかして…


みふる「いるか先輩~。私…やっと押領司さんからOK貰えました!」


やっぱり!通りで疲れているのに表情明るいからそうだと思ったよ!


「頑張ったね みふるちゃん!今晩は美味しいご飯を食べに行こうか。私の奢りで。」


みふる「いるか先輩ー!(涙)」


ガバッ!!


涙目になった彼女は私におもいっきり抱きついてきた。私の胸元でエグエグと涙を流す姿になんだか同情を感じる。


押領司さん…英会話が不得意なみふるちゃんに対して張り切っていたもんな…やりごたえがあるって。



みふる「押領司さん…私にあたりが強いような気がするんですよ。…何か嫌われる事でもしたんでしょうか(涙)私、馬鹿だから…」


「みふるちゃん…」


そんな事ないよ。みふるちゃん。

だって押領司さんは…たしか…


ここ数日前の英会話のレッスンを思い返してみた。ちょうど その時はみふるちゃんが席にいない時だった。


………………


(数日前)


ひすい『みふるって…おバカで可愛いよね。特に泣いた姿はもう…いいなぁ海原さんは、みふると仲良くて…』


ほの暗い感じで笑みを浮かべる押領司さんに、なんだか寒気を感じてしまった。


『あはは…可愛いですよね。押領司さんもすぐ仲良くなれますよ(棒読み)』

(泣いた姿って…美人だと一般人と感覚が違うのかな?きっとそうだよね。)


ひすい『本当?なら仲良くなれるアドバイス教えてよ。みふるの好きな物とか。趣味とか…』


……………………



「……………」


うーん記憶を探ってみたけど、嫌ってる様子はない。……あきらかに好感度は高いよ。みふるちゃんが思っている以上に。仲良くなりたいって言ってたもの。


一応、泣いている姿の旨は黙っていよう。



みふる「いるか先輩?」


「あっ……ごめんごめん。少し押領司さんの行動を思い返していたの。みふるちゃん、押領司さんは貴方を嫌っていないよ。仲良くなりたいって言っていたよ。」


みふる「……えっ押領司さんが!」


目を見開き驚く彼女。それもそうだ。先程まで英会話のスパルタ指導を受けていたから、私の言った事は疑うに決まっている。


なので…私は知っている限り、ここ数日の押領司さんの行動を話してみた。


「ほらっだって…スパルタ指導の後は、必ずお菓子とお茶を用意してくれたでしょ。アレ、みふるちゃんだけだよ。あと常に笑顔だったよ。」


みふる「…てっきり…いるか先輩も…頂いているものだと…常に笑顔?!押領司さんが?!」


「それに…嫌いな人だったら、最後まで付きっきりで英会話なんて教えないよ。」


みふる「……!!……たしかに…」


最後の言葉に、みふるちゃんはハッとした表情になり、やがてシュン…と落ち込んだ表情に変わった。


ん…?ドア越しに誰か……あっ!!


みふる「…私…押領司さん事…勘違いしていました。いるか先輩!あのっもし良かったら、

押領司さんも食事にっ…」


ガシッ!!


会話の途中、ドア越しにいた押領司さんがみふるちゃんに近づいて肩を組んだ。



ひすい「へぇ~?勘違いってなあに?と言うか2人で食事とかズルいじゃない。」


みふる「おっ押領司さん!!あっ…ちょうど良かったです。このあと一緒に食事はどうですか?あの親睦を深めたら…」


ひすい「…みふるからのお誘いなんて嬉しいわ。良いかしら海原さん?」


「もちろんです!今晩は楽しみましょう。」


きゅるるる…(お腹の音)



…と私の会話と同時にみふるちゃんのお腹がなりだした。


みふる「……ごめなさい///」


ひすい「ふふっ行きましょうか2人とも

オススメの場所へ案内するわ。」



……………………

……………………



この後、押領司さんに連れて行かれた場所は高級フレンチレストラン。部屋の豪華さに私達は卒倒。


食材も松茸やキャビアなどの高級食材などが出てきて、あきらかに私には場違いなんじゃないかと感じた。


極めつけはお会計…


ひすい「お金の事は気にしないで。私の奢りだから」


と言ってくれて、ブラックカードでお支払いをしてくれた。ちなみに合計で15,000円。


おひとり様5,000円もするコース料理を奢ってもらったのだ。


「「ご馳走様でした。押領司さん、ありがとうございます。」」


みふるちゃんと一緒にお礼を言いつつ、ふと疑問に感じた。押領司さんってどこかのお嬢様なのかなって。








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