プロローグ 全ての始まり③ 完

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島に漂着して…2週間後。




ザーン…ザーン…


宝来「宮部君!獲物がそっちに行ったよ!」


宮部「はいっ!」



ザシュ!!!


宝来の掛け声と共に宮部が海面に向かって、槍をつく。すると海面から大きな魚が浮かび上がってきた。


宝来「やったね宮部君!さすが!!」


宮部「いえいえ、取締役の船の操作が上手いおかげですよ!」


人間と言うものは案外図太いもので…宝来と宮部は「オランビス島」での生活に慣れ始めていた。



最初は生活や文化の違いに戸惑いを見せた2人だったが、島民達からのサポートのおかげで、今日まで生きる事ができた。


一緒に農作物を育て、狩りをして、火を起こす方法を学び、必要最低限のサバイバル術を習得して…


サバイバル術以外にも、祭りや飲み会に参加をしたり、オランビス島の歴史や文化を学んだりと島民達とも絆を深めた。




だけど…島の生活は今日で最後。



明日の朝…2人は迎えの船で日本に帰国をする。運良く宮部のスマホに電波が届き、会社に連絡を取れて帰国につながったのだ。


宝来「この生活も今日で最後か…なんだか名残惜しいね。次はいつ視察できるかな…」


遭難してもなお、ちゃっかり契約を結ぶ宝来に宮部は少し驚いた。


宮部「村長といつの間にっ…契約が取れたんですね。……そうですね。他の視察もありますし…ざっと2年後ぐらいですね。」


宝来「2年後?!……長いよ!!せっかく島民の方と仲良くなれたのに…あぁ…でも他の視察も大事だ…一体どうすれば…」


2年と言う長い期間に頭を抱える宝来。「あーどうしよう。どうしよう。」と暫く唸ったのち……やがて何かを思いつき顔を上げた。



宝来「そうだ!私以外の人達を視察に行かせたら!私の息子に任せよう!」


宮部「翡翠君にですか。確かに彼は優秀ですが…1人で海外視察は…何人か付けたらどうでしょうか?」


宝来「だよね…翡翠は今、支社で経営者のノウハウを学び中だから…支社の方達を複数人連れて行こう。まずはあの子と…あの子の先輩も…」


はあーなんて優しい父親なんだと、自画自賛する宝来に宮部は苦笑い。


その時、2人を呼ぶ声が聞こえてきた。



村長「お二人さん!そろそろご飯だよ(英語)」


宝来「わかったー!(英語)宮部君!行こうか。」


宮部「ええっよいしょっと…」


獲物を引き上げ、宮部は陸へと漕ぎ出した。





ギィ ギィ ギィ…



ザーン…ザーン…



ギィ…ギィ ギィ



ザーン…ザザーン…




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集落に戻る頃には日が落ちて、夜となった。


最後の夜…2人のために島民達は、「宴」を開催してくれて、お酒を飲み合い、色んな種類の料理をしたづつみして…


満天な星空の元、打楽器のリズムにあわせて全員で踊り明かした。


最後の宴は、楽しくて…なんだか名残惜しい雰囲気になった。



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やがて夜がふけて…


朝日が昇り…陽の光が島を暖かく包み込む。ついに…待ち望んでいた帰りの船が島に上陸をした。


船を見た瞬間、宝来と宮部はうっすらと涙を浮かべ安心した表情になる。


""やっと日本に帰れる""


島の生活が楽しかったとはいえ、狩りに漁業、電化製品がない生活は現代人の2人にとって、やはり過酷な日々だった。



宝来「2週間お世話になりました。

貴方達がいなかったら、私達は死んでいたよ(英語)」


宮部「貴重な体験を本当にありがとうございました(英語)」


村長「お互い様だ。こちらこそ契約を結んでくれてありがとう。貴方達はワシらにとって恩人だ。半年後、待っているぞ(英語)」 



2人は村長達と抱きしめ合い、別れの挨拶を交わし船に乗り込む。


ボォォォォォ(船が動く音)


宝来「さようならっ!また半年後、部下達を来るまで達者でなー(英語)」


宮部「みなさん!お身体に気をつけて(英語)」


彼らは島が見えなくなるまで、声を上げ手を振り続けた。



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こうして…長くて短いような島生活は終わりを告げた。

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