プロローグ 全ての始まり②
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ザーン…ザーン…
白い砂浜に広がるマリンブルーの海。色とりどりの南国の花が咲き乱れ、旅行の始まるような雰囲気。
だが、実際の彼らは数時間前まで日本に帰る予定で、宿泊船でのんびり過ごしていたはずだった。
2人は呆然と立ち尽くし、宝来がポツリと呟いた。
宝来「宮部君…私達は『遭難』したのかね…」
宮部「…そのようですね…スマホの電波が届いていないようですし…」
悪天候により乗船していた宿泊船は海の底へ沈み、2人は荒波に飲み込まれ、気づけば見知らぬ南国へ漂着。
そう…2人は紛れもなく遭難した。
宝来「…ど、どうしよう…宮部君!遭難なんて初めてだよ!!」
宮部「おっ、落ち着いてください取締役!まずは人がいないか探しましょう!ねっ!」
宝来「そ、そうだね!住民探しからだね。その人達から情報収集して……」
宮部「取締役っ、危ない!!」
バシュ!!(弓矢が飛ぶ音)
会話の最中、突然矢が飛んできて、宝来に当たりそうになったところ、
宮部が身を挺して宝来を庇って避けたことにより…
ドスッ!!!
矢は30㌢離れた地面に突き刺さり、事なきを得た。…がそれは一瞬の隙に過ぎなかった。
ガサ ガササ(茂みの音)
宮部「……っ!!」
宝来「………」
茂みの音がする方を振り向くと、民族衣装に身を包んだ屈強な男たちが現れた。
男1「侵入者が?!(英語)」
男たちの数は4人。全員が武器を宝来たちに向けていて敵意満々。一歩でも動けば殺しにかかる勢い。
宮部「………」(…相手が4人。全員が武器を持っている…俺1人じゃ取締役を守れない。一体どうすれば…んん?!)
宝来「………」(すっ)
宮部「………?!」(取締役?!……まさかその動き……)
微かな動きに男たちが武器を構える。戦う気満々の彼らに対し、宝来はなんと…
宝来「よってらっしゃい見てらっしゃい。今から摩訶不思議な芸を始めるよ(英語)」
ポケットから杖を取り出し、マジックを始めた。
男たち「「……!!……」」
宝来「まずは杖から花を出すよ。ワン、ツー、スリー!(英語)」
ポンッ!!
杖の先端から青色の花々を出し、自身の左手に杖で叩くと綺麗な宝石をあふれ出して…
宝来「これ、君たちにプレゼント!僕たちは敵じゃないから安心してくれ。(英語)」
青色の花束と共に宝石を男の一人に手渡した。
宝来は自身のマジックを見せて、敵じゃない事をアピールしつつ、友好関係を結ぼうと作戦に出た。
宮部「……取締役…」
その隣で宮部がダラダラと冷や汗を掻きながら、相手の様子を伺う。
宮部は宝来の作戦は″失敗″だと思っていたから。だけど予想外にもマジックを見た男たちは…
パチ パチ パチ パチ(拍手)
子供の様に目をキラキラと輝かせ、宝来に拍手喝采。
男1「素晴らしい。なんと不思議な術なんだ(英語)」
男2「敵意むき出しの俺たちにプレゼントをするとは…この2人は神からの使いだ(英語)」
男たちは宝来と宮部から一定の距離を取り、コソコソと話し合いを始め、何かを決めているような感じだった。
男3「ーーー!ーーー。」
男4「ーーー。ーーーー。」
5分ほど話し合いをした後、男たちは宝来たちに振り向き、頭を下げて詫びを入れた。
男1「すまない。あなたたちは戦う気がないのに、襲ってしまって…(英語)」
男2「プレゼントをありがとう。お礼に我らの村で褒美と歓迎をしよう。(英語)」
宮部「あっいえ…お礼は…」(パシッ!)
宮部がお礼よりも、日本へ戻る方法を聞こうとした所、宝来により口元を抑えられた。
宮部「取締役!何をするんです(小声)」
宝来「…いや…宮部君。素直に彼らの言う事を聞こうよ。この先なにかと融通ききそうだし(小声)」
宮部「しかし…早く戻らなくては、部下たちが…それに溜まっている仕事も(小声)」
宝来「わかっている。でもこの島を少し調査したいんだ。旅行プランを作れるかもしれない…お願いだよ(小声)」
宮部「……新しい旅行プランが作れるなら…分かりました…(小声)」
宮部の了承を得て、宝来は口元を押さえていた手をぱっと離した。
男4「あのー…お2人方?どうしました?(英語)」
宝来「……!….いや…特に何も。村に案内していただけるなんて、ありがたい。よろしく頼む(英語)」
男1「いえいえ、ぜひ村へゆっくりして下さい。案内します。(英語)」
男たちは宝来たちの足に合わせ、森の中へと歩き出した。
……2人は気付かなかった。
男1「手品をしていた男の素性を調べよう(小声)」
男2「…もしかしたら、村の繁栄に繋がるかもしれない。(小声)」
村の男たちが何やら、良からぬ作戦を企てていたなんて…
もし、宮部の言う通りにしていれば、関係を持たずに、日本に帰れるはずだったのに。
宝来の行動で…半年後、予想外の出来事が起きるとは、この時の2人は思いもしなかった。
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