決まり
僕の話。
それを受けて、エルピスの方はしばらくの間、沈黙する。
「……一番じゃないと、嫌だと言っていたわね?」
その果てに、ようやくになって口を開く。
「そうだね」
「なら、貴方はアフトクラトル王国を世界一の大国にするため、覇権主義にでも出るつもりなの?」
それで言及したのは僕の野望が何処まで波及するのかという話だった。
「ん?別に僕が一人、いるだけでその国は世界でトップでしょ。世界を相手どっても僕は勝つよ」
それに対して、僕は素直な自分の考えを教えてあげる。
「……勝てないでしょ」
「それはそうだね」
普通にエルフの国を相手に僕が一人で喧嘩を売ったらフルボッコにされると思う。
「その気概でいるってだけさ」
ただ、数年後はそうじゃない。
そうでなくする。
言い訳だらけの僕のプライドを、未来で完全なものにするのが僕の在り方だからね。
「ふふっ……貴方らしいわね。あぁ、もういいわ。乗った。お前に乗っかろう。それが例え、どんな道のりであろうとも、私の実力をあげてくれるだろうからな。色々と些末なことを考えるの辞めだ。私は私の道を、剣を優先する」
「それでこそだよ」
エルピスならば、一般良識よりも最終的に己が強くなるというその事実だけを優先してくれると思っていたよ。
「お前が成長できる環境を作ってやるから楽しみにしておくがいい。僕との訓練フルセットを組んでやる」
「……それだけでも十分そうだな」
剣の天才を隣に置いておいた方が僕の成長にとってもいい。
僕が最も得意なのは浅はかな猿真似だからね。
「それで?自分が王になると言っても、そんな簡単なことじゃないだろ。行けるのか?」
「んー、別に行けるやろ」
五分五分って、ところかね?僕の目算だと。
「そうか……それで?これからはどう動くんだ?ずっとエルフの国にいるわけじゃないんだろ?次に何処へと向かうんだ?」
「ん?あぁ、アルマの実家かな」
「……何故?」
「あそこはアフトクラトル王国の隣の領地だからね。色々あるのさ」
初手くらいは流石に決めている。
僕は不思議そうにしているエルピスを前に、ただただニヤリと笑って見せるのだった。
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新作です!良ければ見てくれると嬉しいです!
『狂愛は誰が為に~自分の妹が己への愛を拗らせ過ぎて人類の敵になったのだが、一体僕はどうすればいいですか?~』
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