確認

 ポワンからの報告を聞いた後、僕はすぐに生徒会長であるエルピスを呼び出していた。


「さて、と」


 僕がエルピスを呼び出した場所はエルフの国にある武道場だった。


「ここで僕たちが向かい合ってやることと言えば一つだよね?」


「おぉ!そうかっ!模擬戦だな?この私の成長具合を、お前が測ると?」


 武道場に立つ僕を前にして、エルピスは大きくテンションを上げながらワクワクとした表情で口を開く。


「その通り」

 

 僕はエルピスの言葉に頷き、そして、魔法で鋼の剣を二振り作る。


「ただし、本気でやろう。前みたいに木刀だけっていうのはやめよう。やるなら、しっかりとやるべきだ。魔法も少しは使えるようになっただろう?」


「まぁ、そうだが」


 エルフの国にまで来て、一切魔法を覚えませんでした、なんてことは流石にないだろう。

 

「だが……流石に、学生の間で真剣を振るうというのは……」


「安心しなよ。あの悪魔を倒した、即死級の魔法は使わないからね」


 ためらっている様子のエルピスの退路を断つような言葉を僕は告げる。


「むっ、別に手加減される趣味など私にないぞ?」


「人間が蟻を踏みつぶすのに全力を出すと思う?」


「ふふふ……言ってくれるじゃないかっ」


 僕の言葉に対して、エルピスは不敵な笑みと共にその闘気を膨れ上がらせていく。


「それじゃあ、負けた方は


「はぇぇぇぇっ!?」


 だが、そんなエルピスは続く僕の言葉に止められる。

 彼女は頬を赤くして、声を上げる。

 何となく、僕の要求がこれまでの行動からわかってしまっているのだろう。

 別に隠していないしね?僕がセフレを作って、とかそういうの。


「どうした?おじけづいたか?」


 だが、それを承知の上で僕は躊躇うエルピスを一切の遠慮なく煽っていく。


「いやっ!そんなことはないっ!私が引くことはないっ!負けることなどないっ!」


 そして、その挑発へとエルピスは迷いなく乗ってくれる。


「それで構わん。どうせ、勝つのだ。私が負けた時の想定などいらんっ!」


 ちょっとだけ頬を赤くしながら、それでも、闘気を漲らせ始めたエルピスはその剣を持ってはっきりと言い切ってくれる。

 それでいい。


「よし、やろうか」


 めちゃくちゃズルいが、ここはちゃんと圧勝させてもらう。

 前までの木刀での戦いだったら、普通に負ける可能性もあるからな。

 遠慮なく自分の得意なフィールドに引き込ませてもらった。


「あぁっ!来いっ!!!私は負けないっ!」


 僕とエルピスは互いに剣を構え、そして、地面を蹴るのだった。

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