完成
巨躯の悪魔。
それを倒せる自分の手札。
それは結局のところ、僕の持つ次元斬くらいになってくるだろう。
次元残はそもそもの概念から真っ二つにしていく……概念から、と言ってもよくわからないが、とにかく再生も出来ないような状態に相手を持っていける、そんな気がするような魔法なのだ。
魔法は割と感覚ゲー。
ここまで来た感覚は僕の中で間違っていないだろう。
だからこそ、次元斬さえ出来ればすべてが解決していくのだが……っ。
「次元斬っ」
「ァァァァァァァアアアアアアアア!?」
僕が、どれだけ次元残を放っても、完成することはなかった。
後一歩。
それだけのところで、僕の魔法は途中で霧散してしまうのだ。
「……クソ」
僕はかなり魔力を持っている方だ。
それでも、転移を多用して逃げ続け、その上で結構魔力を消費する次元斬も連発していると、魔量の方が底をつきてしまう。
そろそろ決めたいのだが……っ。
「ふぅー」
足を地面につけた僕は息を吐き、額の汗を腕で拭いながら魔力を貯める。
『何をしているのだ?愛しきの人の子よ』
「……ッ!?」
何度目の正直か。
もはやわからないくらいの試行回数を重ね、今も魔法を発動させようとしたタイミングで自分の頭へと精霊の言葉が響いてくる。
『足らん、足らんのだ、それを行うのには感覚が』
「……感覚が足らない?」
どういうこと?何か、必要なものでもあるの?
『だが、汝は我の愛しき人の子よ。授けよう、力を、感覚を。これだけあれば、出来るはずだ』
僕が疑問に思っている中で、精霊の方はから自分は何かを与えられる。
「あぁ……なるほど、確かに感覚だ」
それを受け取った瞬間。
僕はすべてを理解する。
「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!」
ただの感覚。
言葉には言い表せない。
それでも、元の状態からはほんのわずかに。
それでも、大きな一歩を僕は得る。
「次元斬」
ただ何かは変わった。
その確信と共に放たれた僕の次元斬は今度こそ、巨躯の悪魔の体を真っ二つへと斬り裂いた。
「これで勝ちだ」
そして、そのまま次元斬を五連撃。
派手に巨躯の悪魔を斬り刻み。
「ァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
それを受けた巨躯の悪魔はあえなく、その姿を光の粒子と化して消していくのだった。
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