精霊

 精霊。

 その存在は何であるか。

 それを一言で言い表すのは難しいのだが、あえて言うのであれば、世界の管理者、になってくるだろう。


「ふふふ……」


 この世界の誕生とともに生まれた存在。

 それが精霊であり、その存在は世界と一つになっているといってもいい。

 時間を司る者、星を司る者、魔力を司る者。

 何もない空っぽの世界に要素を与えるのが精霊である。


「愛しの人の子よ。あいも変わらず他人を誑かしているのね?」


 そんな精霊たちの一柱、自然を司る精霊はその手を伸ばし、僕の頬を撫でる。

 こうしてみると、精霊とはいえ、ただの別嬪さんに見えないし、全然抱ける。

 枯れ木より伸びるその精霊の体は緑色の髪に瞳を持ったおっとりした肉付きの良い美人だ。

 豊穣の神という名が実に相応しいと思う。

 産むのかは知らんが、出産に適した魅力的な体だ。


「それが僕であるからな」


「いつか刺されそうで妾は心配よ」


「刺されても勝つさ」


 そんな精霊と僕は自由気ままに言葉を交わしていく。


「それじゃあ、僕はもう後にするよ」


「あぁ、わかった。わかった。でも、また来るのよ?愛しき人の子よ、汝は我が愛を与えたのだ」


「うん、わかっているさ、ちょくちょく来るよ」


 精霊の時間感覚だと数年空いても一日とかにしか感じないだろうけどさ。


「しばらくはここにいるつもりだから、また、ちょくちょく顔を見せに来るよ。まだまだ教えてほしいものもあるから」


 それでも、僕はちゃんと精霊へと顔を見せにくると断言する。


「それじゃあ、それじゃあ」


「うん。またね」


 僕は精霊とのお別れの言葉を口にし、ゆっくりと彼女から離れていく。


「愛しき人の子に、自然の祝福を」


 自分がエルフと友好関係を築けたところに割と精霊が関係ある。

 僕は精霊関係のごたごたを解消して、この位置にまでやってきたのだ。ここで精霊との関係がこじれれば、すべてがご破算。

 そんなことは出来ないよね。

 ちょくちょく、友好関係を築いた精霊には会いに来る必要があるだろう。


「ありがとねっ」


 ついでに言うと、精霊はまだ僕が勝てない数少ないものたちの一人だからね。

 なんてことを考えながら、僕はこの場を後にするのだった。



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