被害者

 短く頷いたアルマは。


「私もわかるわ。頑張りなさい」


 そして、そのままポワンに反感を見せるばかりか、その背中を押していく。


「……ッ。私の告白は───」


「断ったよね?僕はちゃんと無理、って」


 僕はポワンの言葉を遮って口を開く。


「私がその理由を聞いても答えてくださらなかったですし、その後にすぐ逃げていかれました……」

 

 理由を言わないと断った判定にならないの?シビアじゃない?


「別に逃げていないよ。たまたま」



「……ッ!?」


「一応、言っておくけど、僕は何も女の子を傷つける趣味があるわけじゃないからね?」


「はぁ?あれだけのことをしておいて何を言っているの?」


「本当ですよ!」


 僕の言葉へとポワンだけではなく、アルマも加わって攻め立ててくる。


「僕は徹頭徹尾、生まれた時からハーレムを作ることに心血を注いできているわけで、でも、君たち二人はハーレムを受け入れるような子じゃないじゃん。別に僕は二人を自分のものにしようとしたわけじゃ……」


「あれだけのことをしておいて」


「」


「んなぁー」


 そんな話しかけられただけで好きになっちゃうチー牛みたいなことを言われてもぉ。


「別に、嫌いになってくれて良いんだよ?僕は二人からの好意が続くように動いているわけじゃないし……」


「無理よ」


「無理です」


「んなぁー」


「これはもう監禁するしか……」


「そうですね、これはもう監禁するしかありません。むしろ、それ以外の選択肢はないですね……ところで、気になっていたんですけど、同志ですか?」


「えぇ、おそらくは同志。釣られて放置されているの被害者よ」


「……仲間、ですねぇ?」


「えぇ、そうよ?」


 これさ、僕が被害者と言ってもいいよね?告白を断った二人から粘着されている……アルマはちょっと誘惑されてヤッたりはしているけど、それでも、僕が被害者じゃない?

 ストーカー被害にあった!と言っても許されるのでは?


「ちなみだけど、私はもう彼に何度も抱かれているわ。貴方はベッドの上での彼の優しさを知っているかしら?」


「……ッ!?」

 

 あっ、マウント取りに行った。

 ポワンは抱いていないし、クリティカルじゃね?


「いつもはつんつんしているけど、ベッドの上では本当に優しく、毎回耳元で愛を囁いてくれるのよ?」


 僕は純愛和姦プレイが好きなんだよ。抱くなら自分の好きなプレイをしたい。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああんっ!?」


 あぁー、追い打ちまでかけられてポワンは泣いて逃げちゃったよ。

 他人行儀で僕は逃げだして行くポワンのことを眺めるのだった。



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