エルフの国
エルフの国。
それは文字通り、エルフたちが住まう国家である。
この世界にたくさんいる人間以外の種族……獣人、ドワーフ、吸血鬼、竜族。
本当に多くの種類がある亜人種の中の一つにエルフも含まれている。
エルフは本当に自分の前世のイメージ通りの存在だ。
長い耳を持って魔法を得意とし、森林をこよなく愛して住まう長命種、それがエルフである。
そんなエルフはこの世界にある大森林の中心部に一つの国を設けていた。
「この森の中にエルフの国があるんだよ」
そして、その国は長寿の者で占められていることもあって非常に閉鎖的で排他的。
これ以上ないほどに保守的に凝り固まったような国家である。
「ほ、本当に入れるのか?」
そんな国へと僕たち。エルピス、ミーク、アルマ、リアンの生徒会メンバーと僕で向かっているような最中だった。
「入れるんだよ」
父上から独立のための計画を仄めかされたその日に生徒会メンバーへと告げたエルフの国への遠征の提案。
普通は入れないエルフの国。
排他性が故に、他の種族を入れることはまずないエルフの国に僕の持つコネで入れるよ、という話を聞いたエルピスは『貴重な経験が出来るなっ!』と言って、自分の提案を軽く受け入れてくれた。
「外交問題になったりしないか?」
だが、そんなエルピスは実際にエルフの国へと近づいてきたときになってずいぶんと不安そうにし始めていた。
「……そうだな」
そして、そんなエルピスへと同じく不安そうにしているミークも続く。
「ティランが良いと言っているならいいのよ、駄目なら何とかすればいいわ」
それに対して、アルマは平常運転。
「おぉー、すげぇ、周りの木が高ぇ」
そして、リアンは事の重大さが分かっておらず、1人で呑気なことを話していた。
平民である彼にとって、エルフとは何であるか、そこらへんがあまりわかっていないのだろう。
「既に僕は二回目だよ、この国に来るのは。だから、問題ないよ」
「だから、心配しているんだろうっ!」
僕は問題ないと言い切る……のだが、そんな言葉はあっさりとエルピスに否定される。
「お前が行ったとか、どんな問題行為を現地で引き起こしているのか、それを考えるだけで頭が痛いっ!お前の普段の素行がもう少しマシだったら納得できたものを!」
「……」
ちょっと反論は出来なかった。
「もう遅いよ、とりあえず、受けいれろ」
だからこそ、僕はさっさと話し合いを放棄させ、そのまま、全員でエルフの国へと入っていくのだった。
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