提案
「またっ!またっ!何処からか女の力をこびりつかせてきてっ!何処の女よぉっ!何処から拾ってきたのっ!昨日は私を完全に放っておいて、何処にっ!王都が燃える中でも私は貴方なら帰ってくると思ってベッドで全裸待機していたのにぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいい!」
ドロップキックを食らって、地面へと転がっていった僕の肩を掴むアルマがぶんぶんと自分の体を振るってくる。
「おー!ちゃんと来てくれたかっ!既に放課後になってしまっているがっ!」
「元気なようで結構!」
「え、えぇ……何をしているの?二人は」
そんな中で、生徒会室へと他のメンバーである三人もやってくる。
「よっと」
ここに来てようやく僕は自分の体を掴んでいたアルマから逃れて、元の席へと戻って座る。
「あっ!逃げたっ!」
そんな僕を追って、アルマが自分の方に飛びかかろうという態勢を見せる。
「次は捕まる気ないよ?」
「ぐぬっ」
だが、それよりも前に僕が臨戦態勢になったことでアルマは動きを止める。
「ぐぬぬぬぬぬぬ」
そして、悔しそうな表情を浮かべたまま、アルマは僕の隣へと座る。
「なぁ、エルピス」
「……エルピス???」
そんな中で、僕はエルピスを呼び止める。
「何だ?」
「確か、生徒会は外部に遠征という形で何か学びに行くことを許されているんだよな?」
「えっ?あぁ、確かにそんな制度もあったな。生徒会に選ばれるのは基本的にエリートでなおかつ、基本的には良家の人間だ。故に、コネで多くの学びを得られる貴重な場所に得られる機会がある。それを活かすための制度が生徒会にはあるな」
「だよね」
「だが、これは既に死に制度だぞ?これが頻繁に使われていたのは一昔前の話……それこそ、まだポタモス剣魔学園が設立されたばかりで貴族の全員が通うことを通例とされていなかったころの話だ。これを使った記録などここしばらくないぞ?」
「でも、あるにはあるんだろう?なら、それを最大限に生かさないと損じゃない?」
「だが、外部遠征もしっかりと学園の方がプログラムを組んでおり、充実した学びを得られるようになっている。わざわざ生徒会だけで行って価値あるところなどそうないし、あったとしても、行けないだろう」
僕の言葉に対して、エルピスの方は意味ないとばかりに否定的な態度をとる。
だが、ここでは頷いてもらわなければならない。
「一緒にエルフの国に行かない?生徒会としての遠征さ、悪くないと思うけど?普通は入れないよ、あそこ」
そんなことを思う僕はエルピスへと自分の提案を告げるのだった。
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