日常
父上が動き出した。
それを知った僕は、だからと言って、自分の行動を何か変えるわけではない。
「ふわぁぁぁ……ねっむ、流石に寝ないけどさぁ」
アフトクラトル辺境伯家が有する王都の屋敷を後にした僕はそのまま生徒会室の方にやってきて、まだ他の生徒たちが授業を受けている中でそこのソファへと腰掛ける。
「さて、と」
そして、ソファへと腰を下ろした僕は紙と筆を取り出して、手紙を書き始める。
父上が動き出したというのなら、僕の方もある程度動き出した方が良いだろう。
自分の方に話を切り出す、ってことはもうほぼほぼ準備が終わったと考えてもいいだろう。
僕が裏の方から、さりげーなく原作知識も利用して、父上の策略を手助けしていたこともあって、準備は割と順調に進んでいることだろう。
ゲームの時よりもね。
「よし、出来たぁー。まぁ、これでいいだろう」
僕は自分の策略をうまく進めていくための書をしたため終えた後、ゆっくりと体を伸ばす。
「ふぅー」
そして、そのままゆるりとティータイムを始める。
自分の分の紅茶を淹れ、お菓子を広げていく。
「おいしっ」
モグモグとお菓子を食べながら僕は魔導書を広げ、黙々と読み進めていく。
それからしばらく。
「こんにちはー」
僕がまったりとしていた生徒会室へと一人の生徒、アルマが入ってくる。
「おっ、やぁ、おはよう」
そんなアルマへと僕はあいさつの言葉を告げる。
「……っ!」
その瞬間。
「どぉこ、いっていたぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああっ!」
僕の姿を見たアルマがこちらに向かって真っすぐドロップキックを繰り出してくる。
「へぶしっ」
悠長にまずは魔導書をテーブルの上に置いた僕はそのまま真っすぐにアルマの蹴りを受けて勢いよく吹き飛ばされていく。
「また、女の匂いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」
そして、そのまま地面に倒れた僕の肩をゆさゆさとアルマの方は鬼気迫る表情で揺らしてくるのだった。
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