後始末

 僕と生徒会長が二人で暴走していた貴族を制圧した後。

 現場はてんやわんやの大混乱状態になっていた。

 未だ燃え続けている建物の消化。

 瓦礫に挟まって動けなくなっている救護者。

 治療を必要とするようなけが人の手当て。

 亡くなってしまった方の回収。

 気絶している貴族の対処。

 やらなければならないことが五万とあった。


「あー、えっと……お二方」

 

 そして、その中には好き放題暴れていた僕と生徒会長の処遇も含まれている。


「あぁっ!君が言わなくともわかっている」


 自分たち二人におずおずと声をかけてきた騎士の言葉に生徒会長は力強く頷く。


「どれだけの問題行動を起こしていようとも、貴族は貴族。こうして軽々しく私たちがボコボコにしていい相手ではないな」


 別に僕と生徒会長は暴れているからと言って、貴族の当主やら何やらをフルボッコにして、問題がないわけじゃない。

 ただ、立場的に決して下にはならず、とりあえずこの事件のことは隠ぺいして、下手人を処して終わらせようという短絡的な考えで処理できないだけだ。


「君たちの拘束下には一旦置かれよう。それを責めるほど私も意地悪ではない」


「ありがとうございます……ここまでご尽力していただいたというのに」


「仕方ないさ。これが君たちの職務であるのだ。むしろ、しっかりと職務を果たしたと褒めてやろう」


「ありがとうございますっ!」


「これからも救護活動を頑張ってくれ」


「ハッ!お任せをっ!」


「とりあえず、私たちはここに待機していればいいだろう?」


「はい、そうですね。そうしていただけると助かります」


「あいわかった」


 僕は騎士の一人と生徒会長が会話を交わしている中、辺りを見渡しながらまだ生きていそうな建物を探していた……んっ、あれが良いかな?

 

「ねぇ」


 一つの建物に目星をつけた僕は二人へと声をかける。


「何でしょう?」


「何だ?」


「僕はそこの部屋のベッドで寝ているから、何かするなら呼んで」


 そして、一方的にまだ生きている建物を指さしながら告げ、僕はそっちの方に近寄っていく。


「わかりました」


「共に戦ってくれて、例を言おう」


 この建物は一階が飲食店で、二階からは宿泊所だ。

 跳躍一つで二階にある一つの部屋へと入ってきた僕は部屋の様子を確認する。


「完璧」


 窓は割れていたが、それでも、中はかなりきれい。

 ベッドもしっかりと整備された状態でそこに置かれていた。


「いいじゃない、いいじゃない」


 僕はカーテンを閉め、そのままベッドへと寝っ転がる。


「んーっ、はぁー」

 

 さて、ひと眠り、ひと眠り。

 僕は遮音の結界を貼りながら、いそいそとベッドの布団の中へと入っていくのだった。

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