火の手
僕は基本的に剣と魔法。
その両者をうまく活用して戦うことを主な戦い方とするのに対し、生徒会長の方はゴリゴリ剣一本で何もかもを斬り裂いていくようなタイプだ。
今回の木刀でのみ戦うことが許される場においては、一切の油断は出来ない。
「はっはっはっはっはっはっはっ!」
「耳が壊れる……」
「そんな釣れないことをいうな!この血肉沸き立つ時間を前にして、笑うな、など……あまりにも残酷が過ぎる!あぁ、良い!実に素晴らしい時間だぞっ!はっはっはっはっはっはっはっ!」
僕は永遠と高笑いを浮かべながら、木刀を振るってくる生徒会長と激しくぶつかり合っていく。
一発で致命傷を入れてこようとする生徒会長の攻撃を木刀で弾き、僕の方はその後に生徒会長の叩けそうなところを地道に叩くことでダメージを蓄積させていく。
ここでもまた、互いの戦闘スタイルの違いが見え隠れしていた。
「しっ」
「甘いっ!」
そして、その間に僕もしっかりと一撃で倒せるような、首やみぞうちを狙っての攻撃を繰り出すが、それは流石に生徒会長から弾かれる。
「はぁっ!」
「ふんっ」
生徒会長が木刀を振るい、僕が木刀を振るう。
そんな争いが続いていく。
「ふんっ!」
「よっと」
そんな中で、これまですべて生徒会長の一撃を木刀で受けていた僕は動きを変えて、バックステップで彼女の一振りを回避。
そして、すぐさま反転して生徒会長へと急接近。
中途半端な形で剣を振りかぶる形になった生徒会長の木刀を握る手の指を狙って勢いよく、自分の木刀を振るう。
「ぐぬっ」
自分に返ってくるのは相手の指の骨を折ったような感覚だ。
「しっ」
生徒会長の動きが鈍り、木刀を握る力が弱まった。
それを受けて僕は更に足を前に出して、木刀を持ち上げて突きの構えを取る。
狙うは生徒会長の首だ。これで終わらす。
「負けないっ!」
僕が一気に全身して生徒会長の首を狙って木刀を突き出す中で、彼女の方はバックステップしながら体を丸めて何とか自分の首を守ろうという姿勢を取りながら、自分の片足を突き上げてこちらの腹を狙って鋭い蹴りを放ってくる。
僕の木刀が生徒会長の首に当たり、生徒会長の蹴りが僕の腹に当たる───。
「あっ?」
「んっ?」
───だが、その途中で僕と生徒会長の動きは止まり、二人して同じ方向へと視線を向ける。
「……何?」
僕と生徒会長が向けた先にあるのは一つの窓。
そこの窓からは街の方から上がっている、ぼうぼうとした火の手が見えているのだった。
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