戦闘狂
エルピスとの模擬戦の頼みを聞き入れた僕はそのまま場所を移動し、学園内に数多くある武道場の一つへとやってきていた。
「……まさか、こんな夜中に来るとは思っていなかった」
既に陽は落ちている。
僕が魔法でこの場を照らす中で、自分の前にいるエルピスはやる気満々と言った様子で体をほぐしていた。
「ティランの方は体をほぐさないで良いのか?柔軟は大事だよ?」
「既にほぐれているよ」
僕の体はもう万全だ。
温泉でゆっくりして、ベッドの上で運動もしてきたのだ。
具合の方はすこぶるいい。
「さて、と」
僕はエルピスの前で木刀を構える。
「行くぞっ!」
その瞬間、さっきまで体をほぐしている最中だったエルピスが我慢できないと言わんばかりに僕の方へと突撃してくる。
「「……っ」」
自分へと振るわれるエルピスの木刀とそれを受ける僕の木刀はぶつかり合う……そして、その次の瞬間に僕は膝から力を抜いてぶつかり合った剣のベクトルを自分の方へと向けながら、それでも横に木刀を無理やり押し込める。
結果。
「……ぬぅっ」
あっさりとエルピスの体は前のめりとなって両足のかかとがあがり、腹ががら空きとなる。
「ほいっ!」
そして、そのまま僕は体を滑らせてエルピスの腹へと横蹴りを叩き込む。
「ふぅんっ!」
「……はぁ?」
だが、その蹴った感触としては岩を蹴ったかのようなもの。
僕の蹴りはエルピスの固められた腹筋を前に、止められた。
「ぬぅんっ!」
そして、その次の瞬間には強引に腕力だけで引き戻した返しの刃が僕の首を狙って近づいていた。
それを僕は体を強引に逸らすことで回避する。
「らぁっ!」
今度は僕の態勢が崩れた。
自分の前で大きく足を上げてスカートをめくれさせ、パンツを丸出しにするエルピスは、狂気的な笑みを浮かべたままに僕の喉に向けてその振り上げた足を下ろしてくる。
「ちぃっ……」
それに対して、僕はのけぞった勢いのままに地面へと背をつけて、そのまま生徒会長の股をすり抜けるように地面を滑ることで回避する。
「容赦ねぇっ」
さっきから首を狙った来すぎだろ、殺す気じゃねぇか。
「あぁっ!いい!」
この生徒会長。
作中において、ゲームの最強論争において常に話題に上がるような人物であり、その実力はこの段階で完成されている。
「戦っているよ!今、私はぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!」
そんな強者たる生徒会長は、僕の前で高笑いを浮かべている。
生徒会長は作中の中でトップクラスの戦闘狂だ。
互角や格上との血肉沸き立つような戦いのなかで、生の喜びも、性の喜びも、感じるようなとんでもない奴である。
「バトルジャンキー……実際に前にいると、普通に引くな」
そんな生徒会長を前に、僕は顎を少し引きながら木刀を再度、構え直すのだった。
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