頼み
まずは薬草の群生地周りを根城にしている一体のドラゴンを軽くボコして眠らせ、薬草を採取。
そして、ゆっくりと温泉を堪能した後に、依頼主に向かって薬草を運搬。
そのまま彼女、ライオフォル男爵家のミニョン・ライオフォルの初めてを貰った後。
「帰ったよ」
僕はようやくになって帰ってきた。
ベッドの上での話がずいぶんと盛り上がってしまったせいで、温泉からは早めに出たというのに、生徒会に帰ってきたときは既に夜遅くだった。
なので、もう流石に生徒会室の方には誰も残ってないと思っていたのだが……。
「よくぞ、戻ってきたなっ!」
生徒会室の方には、そのトップである生徒会長が待っていた。
「まだ、帰ってきていなかったの?」
「あぁ!そうだ、お前にお願いしていたことがあってな」
「僕に……?」
荷物を回収するために生徒会室へと戻ってきた僕は、自分の前にいる生徒会長の言葉に頷きつつ、椅子へと腰掛ける。
「あぁ……だが、その前にその、生徒会長呼びは辞めてくれないか?」
「んぁ?」
「ちょっと疎外感を感じるぞ……ミークは副生徒会長と呼ばないだろう?」
僕がエルピスのことを生徒会長と呼び続けるのにはちゃんと理由がある。
まぁ、理由と行ってもただただゲームのプレイヤーの間で生徒会長と呼ばれ続けていただけなんだが。
何処のコラボに行っても常に生徒会長と呼ばれ続けていたことから、エルピスのことをプレイヤーも常に生徒会長と呼んでいたのだ。
それを僕が今も引きずっているだけである。
「考えておこう、エルピス」
「おぉ!」
もう既に生徒会長と呼び慣れているので、呼びミスることは多々ありそうだが、まぁ、気にしておこう。
「それで?僕へのお願いとはなんだったの?」
「……そうだな」
自分の言葉に頷いたせいとか……エルピスは壁に立てかけていた木刀を二本取って、そのうちの一本を僕の方に投げてくる。
「何?」
その木刀をキャッチした僕はエルピスへと疑問の声をかける。
「私と模擬戦をしてほしい」
「……模擬戦?」
「あぁ!そうだっ!私はずっと、ずっと欲していたっ!自分に並び立つような存在をっ!私のことを受け止めてくれるもの!私と共に切磋琢磨していけるような強者、をっ!!!私はぁぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアアアアアぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……ずっと、待っていた。ずっと、ずっと、ずっとぉっ!!!」
「あぁー」
僕の前で熱く熱く語ってくれるエルピス。
それを前にして、僕はゲームの設定を思いだしながら頷く。
「なるほど、良いだろう」
「おぉーっ!本当かっ!それは、それはありがたいっ!」
そして、僕は勝ったな!なんてことを思いながら、エルピスの申し出を受け入れるのだった。
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