選択
仕分けした結果、寄せられてきた話のほとんどがくだらないことであったり、すぐに終わらせられるようなものばかり。
そんな中で、しっかりと労力を割かなけらばならなそうだったのは本当にごく少数。
たった九個しかなかった。
「この中から何をやっていくかを決めていくのだっ!」
その九個の紙を前に、生徒会長は堂々たる態度で口を開く。
そんな彼女の後に続いていきそうなミークは今、すぐに終わらせられるような簡単なものを淡々と処理している最中である為、何も言ってきたりはしない。
凄い集中力で作業を進めている。
「ん?まぁ……これだろ」
何をやっていくのか。
それを尋ねられた僕は一つの紙を手に取る。
「これが最優先だろうよ」
自分が手に取った紙へと書かれていたのは難病に罹ってしまった妹の病気を治す薬草が欲しいという内容だった。
これを書いた生徒は男爵家の娘らしく、薬草を用意できるだけの金も、コネもないのだろう。
この薬草の入手難易度は結構高いからな。助けを欲するのもわかる……それにしても、依頼の紙にはちゃんと生徒の名前と顔写真を乗っけなければならないというルールは良いな。
本来の目的であるいたずら目的のものを減らす、ということにはまったくもって寄与出来ていないが、それでも、これのおかげで僕は助けを求めてきている女の顔がわかるわけだ。
うん、この子は中々に可愛い子だ。ちょっとロリ顔で、非常に良い。
「こういうのを何とかするのが生徒会だろう?」
「うむ!そうであるな」
僕の言葉に生徒会長は頷く。
「んじゃ、僕はここに行ってくるわ。サクッと済ませてくる」
確か、この薬草の群生地には確か、天然の温泉があったはずだ。
あそこに一人で入ってゆっくりとしたい気分だ。
「私もついていくわ!」
一人で行く気満々である僕に対して、アルマも一緒についてくるという意思表示を示してくる。
「要らんよ。別にこれくらいであれば一人で出来る」
だが、それを僕はサクッと断る。
「な、なんで!?……何と言われようとも」
「あァ?邪魔なんだけど」
「こひゅっ」
別に女と二人でいく温泉もいいが、今の僕は一人でゆっくりしたい気分なんだ。
それを邪魔されるつもりはない。
「アルマは何か別のやっていないよ。どうせ、やることは他に八つもあるんだから」
「で、でも……」
僕の言葉にアルマは言葉を詰まらせる。
「何を言おうとも僕は意思を変えるつもりはないぞ。大人しく下がっていろ」
「……う、うん」
僕の言葉にちょっとだけ頬を赤らめているアルマは頷き、そのままおずおずと下がっていく。
「んじゃ、僕は一人でこれをこなしてくるわ」
「あ、あぁ……一人でいいんだな?」
「うん、一人で行ってくるよ」
「それじゃあ、行ってくるといい!出来るだけ早く帰ってこいよ!」
「そんなに遅くなるつもりはないよ」
群生地の方もそこまで遠いわけじゃない。
割とすぐに帰ってこられるだろう。
「私は……何をやろうかな。何が出来るかな?」
「うーん、これもいいなぁ。いや、こっちも」
僕の言葉を受けて、大人しく他の紙を眺め出したアルマに、最初からこちらへの意識をまったく割いていなかったリアンがいる中で。
「んじゃ、いってきやす」
僕は一人、この生徒会室を飛び出していくのだった。
ヒャッハーっ!温泉だっ!温泉っ!
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