仕分け

 生徒会の方に寄せられている多くの紙。


「私には彼氏がいるのですが、その彼氏にプレゼントをあげたいのです。何が一番喜ぶと思いますか?」


「自分は綺麗な石を拾ってきて、それを磨き上げているんですが、あまりその出来に納得いかないときもあるんですよね。良い感じの魔法ありませんか?石を磨くための」


「学園を辞めたいです。外に出たくないです。できれば、自分の部屋で毎日、ダラダラして過ごしていたいです。どうにかなりませんか?とりあえず、私は外に出たくありません」


「一年生です!学園でおすすめの場所はないですかっ!?」


 そこに書かれているのはどれもがくだらないようなものばかりだった。


「知るかいなっ!」


 これまで一つ一つ、丁寧に読み上げていたアルマなんかはその雑さを前に、手に持っていた紙を地面に叩きつけるほどである……いや、そこまでのことじゃないでしょ。


「最初の仕事は深刻なものと、そうでもないものを下げるような作業から始まるわけね」


「あぁっ!そうだな。やっぱり、広くから意見を募っている以上、そういう些細なものも増えてしまう。こればっかりは仕方ないな!」


「こっちとしてはいい迷惑なんだけどね?」


 僕の言葉に対する生徒会長の呆れたように告げる言葉に対して、アルマはため息交じりに返していく。


「それでも活動だっ!それに、些細なことでも対応するのが我々生徒会だ。すべてを受け入れるというその広い器を持つのが我らだっ!ということで、私は学園でおすすめの場所を明日出す、週間生徒会記事につけたしてくるから、分別の方は頼む」


 そんなアルマの言葉にミークは大まじめに回答する。


「えぇ……もう実力向上関係なくない?」


「いや、こういう時はおススメの場所と言って勉強が出来る図書室や、教育熱心な教師の男が徘徊している旧校舎にある道場なんかをおススメすることによって、学園のレベルを向上させられるようにしていくぞ」


「せこくない?やっていることが」


「その地道な活動がいずれ、大きな意味を持つようになるのだよっ!意識改革は馬鹿に出来ないぞ。さぁ、いいからやるぞっ!本当にくだらないだろうな、ってものをまずは弾くんだ。この『じゃんけんをするとき、右手と左手、どちらで出す方が勝てますか?』のようにな」


「まっ、やるかぁ……」


「ティランがやるのなら私もやるわ」


「いやぁー、大変な作業になりそうですね」


「おーっ、す、素直に言うことを聞いてくれるなんて……っ!」


 一応、曲がりなりにも僕は生徒会に入ったのだ。

 別に今はやりたいことがあるわけでもないし、大人しく働くとしよう。

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