集合

 キンっ、キンっ。

 僕は自分の手元にある金貨を一枚、指で弾いてキャッチして、また弾く。

 そんなことを繰り返す。


「さて、これで集合だなっ!」


 そんな僕が今、いるのは生徒会室である。


「今いる生徒会メンバーがこうして全員集合出来て私としては感激だ」


「まったくもってそうであるなっ!」


「一番の懸念点はお前だったのだがな」


「流石に模擬戦如きでずっと寝込んではいられないともっ!」


 ここには今、結局のところ生徒会入りが正式に決定した僕と、リアン、アルマの三人。

 それと、三年生の生徒会メンバーであり、生徒会長であるエルピスに、保健室の方から帰ってきていた副生徒会長のミークだった。

 今、生徒会室にいるのはこれだけ。色々あって、三年生の生徒会は二人だけ。

 そして、二年生の生徒会メンバーはそもそもとして学園内にいない。

 二年生は今、遠征に出かけるような最中なのだ。

 基本的に一年生を出迎えるのは、最高学年であり、既に将来の進路を固めつつある三年生。

 そして、二年生は遠征に出かけて一年生と会うのは彼らが学園生活に慣れてからということになっている。

 これは一年生が学園に馴染めるように、という配慮であり、この学園の伝統ということになっているわけだが……まぁ、ゲーム的には一度にキャラを登場させ過ぎるとストーリー進行に支障が出るという話だろうね。


「……どうだがねぇ?」


「む、むっ!?なんだ!?」


 ちなみにミークのあばらは未だに折れている。


「アルマの傷が残ってはりますなぁ?」


 そんなミークの状態を見て、僕は自分の隣に座っているアルマへと声をかける。


「……私じゃないわ。私が木刀を握った段階で折れていたわよ、あのあばらは」


「舐めるのも大概にしてくれよ?僕が治りにくい傷を残すわけがないだろう。ちゃんとあざの残る程度にしておいた」


「それは程度、と言えるのかしら?」


「あばらを砕いたお前よりはマシだろう?」


 誰がミークの体に酷い損害を与えたのか。そんな話をしている僕とアルマに対して。


「お、お、お前らぁっ!」


 ミークは声を上げる。


「私のことはもういいから!万全だっ!」


 そして、彼女がアピールするのは自分の万全具合である。


「ちょいっ!」


「あぁぁぁぁぁぁあああああああ!?」


 だが、そんなアピールは自分の隣にいる生徒会長からあばらに向かって振るわれた軽い手刀を受けて崩れ落ちてしまったことから無意味に帰していく。


「お前だぁー」


「私じゃないわよっ!」

 

 そんなミークを前にして、僕とアルマは押し付け合いを再開する。


「……二人ともやりすぎだと思ったけどね」


 そんな状況をどこまでも横から見ているリアンの方は苦笑交じりで口を開く。


「まぁ、この辺りにしようか」


 そんな中で、生徒会長が話を入れかえる。


「これからはこの生徒会の仕事、主な業務について語っていくぞっ!」


「あぁっ!そうだっ!そうしよう!」


 そして、そんな生徒会長の言葉にミークの方も勢いよく立ち上がって同意の声を上げる。


「……」

 

 それにしても、生徒会長も、副生徒会長もキャラ丸かぶりじゃねぇーか。

 二人してうるさいの結構やかましくて鬱陶しいんだけど。

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