空間魔法
楽しくリアンとアルマの二人をフルボッコにしているとすぐに五限の実技の授業は終わってしまった。
「……う、うぅ」
「……あぁぁぁ」
僕にボコされ続けたリアンとアルマが地面に転がっている中、自分はゆっくりと周りを見渡して他の場所の様子を確認する。
最初の方は軽く戦っているだけだった生徒しかいなかった授業ではあるが、ド派手に注目を集めながら全力に近い模擬戦をしていた僕たちに触発されて周りの生徒たちも本気を出して戦い始めたことでこの場は死屍累々となっていた。
やりきったという表情を浮かべ、多くの生徒たちが地面に倒れている。
この後に六限の授業が、まだ、実技の授業があるとは信じられらないだろう。
「……何をしているんだ」
そんな様子を見て、教師の方も深々とため息をついていた。
まぁ、そうだよね。
「それで、一番の原因と言えるようなお前はピンピンしているんだ」
「何と理不尽な」
「お前が原因なのは間違いないだろう……どうするんだ。この後の授業は。これから魔法についての実力のほども確認しようと思っていたのに。出来なそうだぞ?」
「まぁ、そんなこともあるでしょう。じゃあ、僕だけはちゃんと授業に参加するよ」
何とか、地面には倒れていずに立っている連中もボロボロであることは間違いない。
魔法の訓練なんて出来るような状況ではないだろう。
「あぁ……そうだな。お前は勝手にやってくれ。お前の強さが異常なのはわかったからな。長年表舞台に出てこなかったアフトクラトル辺境伯の嫡男がただただ頭のおかしな強さをしているだけだとわかったのは大きな収穫だ」
「それじゃあ、勝手にぃー」
他の生徒たちの介護に先生が向かっていく中、僕は一人で今、自分たちがいる場所の中に設置されている魔法を当てるための的が並べている場所へと向かっていく。
「……」
的に向かって魔法を打つ場所に立った僕は心を静め、ゆっくりと丁寧に魔力を塗っていく。
ゲーム内のティラン・アフトクラトルが得意としていた魔法は空間を操るような魔法だった。
そして、それを得意とするのは今の僕も同じだった。
基本的にゲーム内のティランが使えていたような魔法、転移であったり、物質の転送だったりは当然使える。
だが、そんなところで僕は満足するつもりなかった。
「……ふぅー」
僕は息を吐きながら自分の両手を持ち上げて重ね合わる。
そして、一気に魔法陣を展開していく。
「うしっ」
自分の編み込む巨大な魔法陣が完成すると共に魔法を発動する。
「時空斬」
手を放して、一振り。
それにより、世界を断つ斬撃が放たれる。
自分が指定した線に沿って空間と空間がズレ、その線上にあるものすべてを斬り裂いていく……そんな想定で開発している最中の魔法が的に向かって進んでいく。
「ちっ」
だが、その魔法は途中でブレて暴発。
「……はっ?」
自分が狙った的のあたり一面の何もかもを削り取るようなお粗末な結果となるのだった。
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