模擬戦
つまらない座学の授業を終えれば、次に待っているのは実技の授業である。
この学園では六時間ある時間割のうち、四時間目までは座学。残りを実技の時間としていた。
最初の実技の時間。
それは新入生の実力をまずは見るため、ということで生徒同士、各々好きなように模擬戦をするように、というものだった。
魔法禁止で真剣も禁止で安全にしっかりと配慮されている状況で生徒たちが好きなように模擬戦を行っていた。
「ほらほらっ!二人がかりでそんなものかっ!」
「くっ……」
「や、ヤバすぎでしょ……っ!?」
というわけで、僕はリアンとアルマの二人を相手取って模擬戦をして、楽しんでいた。
僕はリアンとアルマより打ち込まれる木刀を軽々とはじき返し、圧倒的な力でもってその二人を逆に強襲する。
「足元ふらつきすぎだよっ」
「ぐぼっ!?」
木刀を持つ僕は自分の前にいるリアンを足払いで転ばせ、地面へと倒れて所に向かって足を踏み下ろして腹を打ちぬき、それに伴って彼の手元からこぼれ落ちた木刀を蹴り飛ばしてやる。
「チャンスだと思って身を乗り出しすぎだよ。体の重心がおかしなことになっているよ?」
そして、そんな自分の背後から木刀を振り落としてくるアルマに対して、僕は木刀を持つ自分の手を背後に持って行って軽くいなす。
「きゃっ!?」
力み過ぎて態勢が崩れていたアルマは軽く僕の木刀にその体ごと絡めとられて地面へと体を勢いよく倒す。
「あぁぁぁぁぁっ!」
体が地面へと倒されつつある中でも、アルマはその体に力を込めて、僕の首元に向かって木刀で突きを繰り出す。
「せめて声くらいは我慢しなよ。攻撃しますっ!って宣言しているようなものだよ?」
そんな一撃を僕が軽く避けてアルマの体に肘内を叩きつけることで彼女の体は加速。
勢いよく地面へと叩きつけられる。
「これで五回目」
自分の前には地面へと転がったリアンとアルマの二人。
そんな二人の首元へと僕は木刀を突きつけて勝利を宣言する。
「……ふぅー」
僕の強さはうぬぼれ抜きで世界でもトップクラスであるという自負がある。
だが、それでも世界最強というわけではない。
僕が目指すのは誰もがひれ伏すような最強の存在である。
そのためには、こういう場でも学ぶ姿勢を忘れちゃおしまいだよね。
「ふっ、まだまだ弱いね」
ちなみに、煽りの言葉は純粋に僕の抑えきれないパッションだ。
やっぱり、人を煽っているときって楽しいよね。煽りはFPSゲーマーの嗜みだよ。
「まだやる?」
「ここまで馬鹿にされておめおめと終われるわけねぇっすよっ!せめて、せめて一撃くらいはお前の体に木刀を叩きつけてからだ……ですねっ!」
「やるわ。いつか、貴方を監禁出来るようになるその日まで……貴方からすべてを学んでやるわ」
「二人ともちゃんと現実を見るところから始めよ?まぁ、今はいいけどね。それじゃあ、やろうか」
バックステップ一つで二人から距離を取った僕はゆっくりと木刀を構え、あおりを交えながら二人に向き合う。
「絶対に一撃してやるから覚悟しとけやっ!」
「ふふふ……その余裕そうな表情が歪むのも美しいわねっ!」
そんな僕へと、の二人はしっかりと強い殺意を見せてくる。
そして。
「あっはっはっはっはっは!弱い、弱い、よわぁーいっ!」
「ぐぬぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああ!?」
「くぅ……こんなにも、遠いっ!」
僕は実技の授業が終わるまでただひたすらに二人をフルボッコにし続けるのだった。
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