学校生活

 初日から生徒会入りを決めるなど、色々と波乱の多い幕開けとはなったが、それでもしっかりと学園生活の方は始まっていった。

 学園二日目からはクラス発表もなされ、各自のクラスへと移動。

 そこで自己紹介を行った。


「それじゃあ、最初の授業を始めていくわね」


 そして、その次にはもう最初の授業が始まっていた。

 クラスの侵攻を深めるようなイベントは何もなしである。


「ふわぁ……」


 ゲームのクラス分けそのまま。

 主人公であるリアンと負けヒロインであるアルマと同じクラスの中で、悪役貴族たる僕は呑気にあくびを浮かべる。


「まず、行うのは魔法についての基礎的な知識よ。こんなの簡単、だと思っている生徒もいるでしょうが、こここそ、基礎の基礎。改めて確固たる知識を再度聞きなさい。まず、魔法とは魔力を用いて世界の理へと干渉することで発動させる奇跡、物理現象から外れた異常事態のことよ。そんな魔法の使用に必要となる魔力とは生命であれば誰もが持っている想像主たる神が与えた根源の力。それで───」

 

 この学園は最高クラスの教育が行われる場所だと言っても、所詮はまだ一年生の最初の授業である。

 これからしばらくのところは退屈な授業が続くだろう。

 

「実際に魔法を使う際は、魔力を属性魔力に変換させるわ。そんな魔法の発動プロセスをここで改めて確認していくわね。ここが抜けているとどうあっても応用できないから忘れないように」


 数学などの前世から行っていた義務教育の分野は当然として、魔法などのこの世界にある分野であっても問題はないだろう。


「発動のプロセスとしては何の属性にも染まっていない魔力に属性を与えて属性魔力へと変換。そして、体の中にある属性魔力を体外に放出することにより、魔法は発動させるわ」


 今、ここで先生が話している内容なんかは既に知り尽くしているようなものだ。


「だけど、ただ属性魔力を体外に放出しただけじゃ大きなことは起こせないわ。魔法の効果を拡張する必要がある。それに使われるのが魔法陣よ。魔法陣とは魔法の在り方を変えるものよ。体外へと放出する際に魔法陣を展開することでその魔法の在り方に変化を加えるのよ。出す量を多くしたり、形を変えたり……その変え方は人それぞれで実に多くのパターンがあるわね」


 僕は魔法陣を自作したりするからね。

 前世において、研究者が多くの物理法則を見つけて式にしたように、この世界では多くの研究者が多くの魔法法則を見つけて魔法陣として魔法を作り出している。

 当然、過去の先人たちが築き上げてきた汎用魔法を超えるオリジナルを作るのは至難の業だ。

 だが、僕は前世の知識に自分の体という才能あふれるこの身だから出来るなどを駆使して汎用を超えるオリジナルの魔法を多数生み出している。

 魔法の分野に関して言えば、こんなレベルを大きく超えている。

 実に今更な話だ。


「ふわぁ……」


 この世界特有の歴史や宗教に関する暗記科目は唯一の懸念事項ではあるが、それでもここまでである程度の勉強はしている。

 後々は知らんが、まだこの一年生の段階では問題ないだろう。

 

「ねむっ」


 ということで、僕はあくびを浮かべながら呑気に窓の外を眺めているのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る