襲来

 一年生の生徒会は爆速で決まった。

 あのまま彼女から促されるままに生徒会室へとやってきた僕たちはそこで生徒会入りを決める書類へとサインをした。


「ねぇ」


 今は生徒会長の方が僕たちのサインした書類をもって職員室の方に向かっている最中である。


「入学式ではなんて?重要事項だけ、教えてくれない?」


 そんな中で、僕は一番最初の目的だった入学式では何があったのかを自分の隣に座っているアルマへと尋ねる。

 というか、最初はただこれからどう動くのかが正解なのかを聞くために動き出していたのに、何で何時の間にか生徒会に入ることとなっているんだ。

 別に貧乳の生徒会長がいるから良いんだけどね?


「あぁ、そうだったわね。サボったんだもんね。えっとね。そんな大事なことは何も話していなかったわ。入学式後は解散。そこで各自、生徒同士の友好を深めるように言われて終わったわ」


「それだけ?」


「それだけね」


 わぁー、内容がうっすいー。


「クラス分けも明日の朝、掲示板に貼り付けているとのことで、本当に大事な知らせは何もなかったわ」


「それなら、休んでよかったな」


 しっかりと僕は正解を進んでいたらしい。


「私は貴方に安心を与えられてよかったわ」


「うん、そうだな」


 僕の為にアルマは入学式に参加した。

 実に有意義だったな、アルマは。


「……お前らの関係、もしかして、キモイ?」


 そんな自分たちのやり取りを対面の席で見ていたリアンがぼそりと小さく言葉を漏らす。

 ちょうどそんな時。


「あんたらかぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああっ!」


 自分たちがいた生徒会室の扉が勢いよく開けられると共に、怒号が響き渡ってくる。


「んぁ?」


「……何?」


「っ!?」


 生徒会室の扉の方に視線を向けてみれば、そこに立っているのは一人の少女である。


「おっ」


 その少女。

 飛びぬけて高い慎重にショートカットの金髪に綺麗な碧眼を持った赤いリボンのついた制服を身につけている少女の姿に僕はずいぶんと見覚えがあった。

 ミーク・スクリットーレ。

 スクリットーレ侯爵家の長女であり、ゲームにも登場する生徒会の堅物副会長だった。


「ひゅー」

 

 お早い登場だぜ。

 こうして実際にみると、ミークの高身長って結構圧倒的だな。

 うん、実に美しい。

 初めて見るような高身長を前に僕の食種が大いに刺激されている中で。


「お前らが一年生の生徒会志願者だなっ!あの衝動的に生きる猿が見つけてきたというっ!」


「さ、猿……」


 猿呼ばわりされてしょんぼりしている生徒会長の前に立つミークが大きな声で言葉を響かせる。


「だが、私はそんなお前らを認めなぁいっ!!!ここは名誉あるポタモス剣魔学園の生徒会!軟弱なものを入れることなどできまぁいっ!そう簡単に決めていいようなことではないのだっ!」


「声、でけぇ……」


 その声のデカさは一級品だった。

 喘ぎ声もデカそうで良いな。


「ゆえに!!本当に生徒会へと入りたいというのであれば、その覚悟を見せてもらおうかっ!この私が直々にお前たちを見極めてやるっ!」


 ずいぶんと最低なことを考えている僕の前で、ミークは意気揚々と自分たちのことを見極まれると豪語するのだった。

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