第4話 未来の義理の弟?

「じゃあ,ここだから家.また明日.春樹君」

結局,秋道さんの目的は良く分からかったが,想定しているより悪い人ではないかも知れないことと,想像以上にアホの子なのかもしれないと分かった.


「……また明日ですか.」

とりあえず,短期戦で終わることはないらしい.


「そう,また明日だよ,バイバイ.」

アホみたいに,ブンブンと手を振り回す彼女と教室での比較的大人しい彼女とどちらが本物なのか分からないなと思う気持ちと家がめちゃくちゃ近所だったけど,これは黙っておこうという気持ちを持ちながら歩みを進めた.


高校生になってから実家から離れたこの町で一人暮らしをしている.理由は遠くの高校に行ったからである.寮は嫌だったので我がままを言って一人暮らしをさせて貰っている.まあ,基本的に一人だ,この家を知っているのは親と妹と……弟的なやつだけだが,遠くに住んでいるので基本的には会うことがない.


家に帰ると玄関の前に人が座り込んでいた.

「久しぶり,お兄ちゃん.」

中世的な声でそいつ笑っていた.

基本的に会うことがないと思っていたが,今日はいろいろ起きるらしい.


「……僕には,弟も妹もいない」


「まあまあ,義理のお兄ちゃんになるはずだったから誤差でしょ.」


冬川 誠二,中学2年生は幼馴染である.弟のような存在では間違えないが,しかしまあなんと言うかややこしい関係だった.それ以上に,まず

「それで何があったの?そしてなんで女装?」

彼の服装が可笑しかった.


「……家出して来た,服装はこれしかなくて,母親も姉も,まあうん.いろいろあって服が全部処分された.」

彼には父親がいなかった,いなくなった,それにまあ僕のせいで男性不信が広がっていたのだろう.


「……ごめん.」


「まあ最大の原因は,お兄ちゃんじゃないから.あと,申し訳ないなら家と服を貸して.」

まあ服のサイズは大丈夫だろう.


「……いろいろ迷惑かけるね.」


「いや,お兄ちゃんもさ,悪いところあるとは思うよ.親友と幼馴染との板挟みで,まあ仕方ないよ.あとしばらくここにいるから」


「しばらく……最悪って連鎖するんだな.」

最近はいろいろありすぎでしょ.


「何言ってるわけ.兄さん,まあしばらくよろしくね.」


「それは無理」


「家出が1日な分けないじゃん.」


「いや無理,流石に無理.めんどください」


「……じゃあ,1週間でどう?」

どうって,なんだよ.


「ていうか,学校はどうするの?」

まだ普通に学校があるここから通うのは無理だ.


「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」

こいつ休むきだな.まあそれは良いとして,流石に何処にも連絡をしないのは不味いな.とりあえず,うちの両親には言っておこう.


「はいはい.はぁ,実家には連絡するよ.」


「誰の?」


「僕の」


「まあ,それぐらいなら良いけど.でさ,さっきから携帯にメッセージ来てるけど?彼女?」


何?携帯にはメッセージがいくつか届いていた.秋道さんからか.メッセージを開いてボーっと見ていた.

「違うけど.」


「だよね,人の姉で幼馴染をフッてて彼女なんていないよね.」


「それは,」

それは,まあいや僕が,はぁどうすれば良かったのだろうか.


「まあ,冗談だし,優也兄ちゃんの味方だから,姉のせいで俺めっちゃ迷惑を受けて家出してきてるし.でももう1年半ぐらい経つのか.」

本当に何で弟とは仲良く出来てるのだろうか?家族意外に唯一の仲が良い存在がはぁ.


「一人暮らしも.そのぐらいになったのか.あっ,食費が二人分か.」


「……まあ,とりあえずよろしく.優也兄さん」

グッとポーズでこっちを見ていた,なんやこいつ.


「……はあ,よろしく.」


「ああ,あと俺は,いろいろ言ってるけど,彼女作ってもいいし.人間関係も構築して良いと思う.で今日の夜ご飯何?」

意外と気が使える未来の義理の弟だよ.妹と上手く行くかな?行って欲しいな.てか


「.てか,妹の方に僕の実家に行けば」


「あっ,あんたのせいで,告白出来なくなったんだぞ.それに恥ずかしいじゃんこの姿.」


「あっ,お寿司頼むか.」

可哀想だった.にしても何か忘れてる気がする.

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