首の痣

レストランでバイトしていたときのこと。

ひとりの女性のオーダーにいったとき、首に真っ黒いものが見えた。

何が巻きついているのかと思ってつい目を凝らして見てしまって、それが鬱血の痕だとわかった。

指の痕に見えた。

もしかしたら助けが必要な人かもしれない、でも見間違いかもしれない。

そう思って、私は他のバイトの子たちに声をかけて、こっそり見てもらった。

でも、誰も何も見えないという。

あまり強く主張するのも変だと思い引き下がったが、その人が退店したあとあるバイトの子が「お連れさん、何も食べなかったね」と言っていた。

どうやら、私とは別のものが見えていたらしい。

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