猫屋怪談

爪を切りなさい

私は好奇心旺盛な子供で、大人がやってほしくないと思っているだろうことを一通りやるような子だった。

木登りしかり、トイレの花子さんを呼び出すのしかり。

当然、こっくりさんもやったことがある。

私の小学生の頃は空前のJホラーブームもあって、オカルトは子供の一般教養だった。

だから、「こっくりさんしようよ」と誰かがこっそり呼びかければ、ギャラリー含めてすぐに人が集まったのだ。

みんなきっと面白半分で、絶対に誰かが１０円玉を動かしていた。

それも含めて楽しかったのだが、途中で誰が呼んだのか先生がすっ飛んできた。

めちゃくちゃ怒られ、二度としないことを約束させられた。

こっくりさんより、怒る先生のほうがよっぽど怖かった。

「帰ったら絶対に全員、爪を切るのよ」と、先生は何度も念を押した。

当時は私たちの知らないこっくりさんのルールだろうと流したのだが、大人になって調べても、そんなローカルルール見つからなかった。

思い出すと、それが怖い。