ドッペルゲンガー

中学生の頃、姉のドッペルゲンガーを見たことがある。

我が家の門限は六時。

ある日私は門限までに家に帰り着こうと急いでいたとき、制服姿でデートしている姉を見つけた。

当時姉とは不仲で、私は親に言いつけてやろうと意気揚々と帰宅した。

ところが、いたのだ。姉が。

しかも私服姿で。

そして私に得意げに「ギリギリだったね。ダメじゃん」などと言う。

腹が立つのと意味がわからないのとで、私は正直にさっき見たものの話をした。

すると姉は青ざめて、「最近よく目撃されてるらしい、あたしのドッペルゲンガー」と言った。

小さな田舎町の狭い世界。

見間違いはまずありえない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る