5.

 青年はスマホに表示された“LINE”の通知をタップする。画面ロックは設定されておらず、そのまま“LINE”が開かれると、ルミのトークルームへと飛んだ。



 < ルミ


            【7/27(土)】

心スポなんて高2以来だから

明日チョー楽しみ😊23:30


            既読 ビビって泣いたってしらねぇぞ 

            23:30


そういうやつが一番怖がるもんだよね笑 23:31


                 既読 守ってやんねぇぞ? 

                 23:31


冗談だよー

もう眠いから寝るねー  23:31


                        既読 おう 

                        23:31


お休みー♪ 23:31


            【7/29(月)】

                  既読 今どこにいるの? 

                  0:33


2階子供部屋 1:00




「2階子供部屋って…」

 青年と共にトークルームを見ているミノルが目を見開く。

「そんなはずねぇよ…。さっき行った時、アイツいなかったよな?」

 ミノルは同意を求めるように、見開いたままの目を青年へ移す。

「うん。確かにいなかった」

 青年は目を合わせながら、冷静にそう答える。

「あいつも俺らを探して彷徨ってた《さまよ》ってことか?だったら、なんで電話に出なかった?」

「…」

「俺らが再会してから送ったLINEも30分近く遅れて返信…。返事できるような状況じゃなかったんだとしても、今は無事ってことだよな?」

 ミノルの表情に、ほんの少しだけ明るさが戻っていく。それに対し彼は、平然とした様子のまま頷いて返す。

「…ここでじっとしててもしょうがねぇ。正直まだ怖ぇけど、ダチの女が待ってんだ。行くしかねぇよな?」

「…うん、そうだね」

「よし。じゃあ、あのマネキンに何かされる前に助けに行くぞ」

 ミノルは、ゆっくりと立ち上がると、出入り口に顔を覗かせる。そして、左右の廊下を注意深く見渡した後、青年に目配せをする。

「…」

 青年は無言で立ち上がる。そして、廊下に出たミノルの後に続いて行く。

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