第28話 頭脳警察『日比谷野音 聖ロック祭』

 2001年6月9日のロックの日、日比谷野音のイベントにて『自爆』してから10年ぶりに頭脳警察が復活します。この時は3カ月限定の復活でしたが。イベントのトリを務めた頭脳警察ですが、圧倒的な存在感を見せつけてくれました。

 この時のライブは、DVD化もされていますし、初めて生のライブを体験した頭脳警察のライブとして、ライブレポートを書き記したいとも思っています。誰も望んではいないでしょうけれど。


 今回のアルバムは、そんな時期に発売されたものです。第3話にて書いていた、PANTA、トシの中に四人囃子が加わって演奏された貴重なドキュメントです。話には聞いた事はありましたが、まさか音源が残っていて、それが正規盤として発売されるとは、全く思っていなかったので驚いたものです。しかも曲数が少ないとばかり思っていたのに、アルバムに収録されているのは18曲。しかもこれでも当日演奏されていた全曲ではないといいます。

 演奏されたのは、1973年10月20日の日比谷野音。以前紹介したライブ盤は、1975年の解散直前のものでしたので、今まで発表されていない時期のものが聴けるのは嬉しいものです。


 https://www.youtube.com/watch?v=YRa52l304sU


 当時の最新作が『仮面劇のヒーローを告訴しろ』でしたが、『誕生』からも演奏されていまして、その辺りの曲は、以後はあまりライブで演奏されなくなっている事からも貴重なライブというのがわかります。音質は良くはありませんが、当時の事を考えたら文句は言えないかと。『さようなら世界夫人よ』は、キーボードが加わって一味違う感じですね。(裏ジャケは誤植で『婦人』と書かれています。間違えちゃダメだろ)

 更に貴重なのは、ライブでは歌う事はないと思っていた『今日は別に変らない』が演奏されている事。アルバム未収録でシングルのB面でしたので、よく歌ってくれたと。そして『最終指令自爆せよ』。これも聴けるなんて、嬉しいものです。


 あまりリハーサルの時間もなかったとはいえ、四人囃子のメンバーはいい演奏をしたと思います。この時は『一触即発』もまだ発売していない頃ですが、演奏は予想以上にロックしていますね。四人囃子はピンクフロイドの影響が強いと思いますが、来日公演での前座の演奏も多かったです。特にディープパープルの前座をした時など、素晴らしい演奏にメンバーに気に入られ、後のレインボーの来日公演の前座にも指名されたりしましたね。実はハードロックも得意だったりします。『聖ロック祭』の時の『コミック雑誌なんかいらない』や『銃をとれ』は、スピード感があって歴代トップクラスのカッコよさです。これを聴くだけでも価値がありますね。


 余談ですが、このライブの数曲に近田春夫さんが参加しているとの事です。それに加えて寺田十三夫さんも数曲参加していると。どれだけ豪華で貴重なライブだったと思いますね。

 森園勝敏さんは、後にPANTAのライブに数回ゲストで参加しています。2002年には、頭脳警察と四人囃子のジョイントライブが行われて、アンコールで頭脳囃子が復活しています。

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